「本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源」マーク・S. ブランバーグ - 好むと好まざるとにかかわらず - 楽天ブログ(Blog)ここまで煽られたら疑似科学大好きな俺は読むしかないと思って手にした一冊。 結論から言うと、買え(命令形)。アンチ疑似科学な貴方は是非読んだほうがいいと思うよ。あ、ページが勝手にめくれちゃうから鼻息抑えてからのほうがいいと思うけどw
生物学の本でこんなに目から鱗が落ちたのは久しぶりだ。いつ以来だろう?
敵は本能にあり、と書いたのはキムミョンガン氏だが、この本は"本能"と言う言葉に対して根本的な疑義を挟んでいる。多くの人は割と気安く「本能」という言葉を使うと思うが、果たして本能とは何なのか?本能という言葉の変遷をプラトンの昔から現在の動物行動学者や進化心理学者までの「本能」を取扱を上げた後、後半でそれらを一つ一つ実証していく。また、併せて創造説或いは最近流行のインテリジェント・デザイン論もばっさり。
例えば、生物に固有の生得性……ほ乳類の新生児が生まれてすぐ母親の乳を求める行動などをみると、生まれつきそう言う行動をするように出来ているように思ってしまう。 しかし、それは本当に「生まれつき」なのだろうか?そう言った俗説を丹念に実験を繰り返すことによって覆された事例が多々上げられている。いやもう頁をめくるたびに目から鱗が落ちましたよ。まさか、「喉が渇いたら水を飲む」と言う行動すら本能に由来するものではなかったとは…!
重要なのは、“動物が隔離されているか”ではなく、“何から隔離されているか”だ。ホント、これ重要なんだなあと。 一時期は遺伝子決定論というものが流行って、ヒトゲノム・プロジェクトが完遂した暁には人類のことなど全て分かるかのようにいわれたが、結局分かったのは遺伝子だけが特権的な地位にいるわけではないと言うことだった。
読み進めるうちに、何が生得的なものなのか、何が後天的なものなのか、それを区分けすることが如何に難しいか分かる。
うまくまとまらないのだが、発達・遺伝・学習等の諸々についてちゃんと読みたい人にはお薦めの一冊。
池田信夫 blog 人類史のなかの定住革命あと、本書の評判を知ろうと検索をかけたところ余り言及がなかったので是非とも小飼弾氏と橋本大也氏には読んでもらいたいと思った。1万年ぐらいの間では遺伝的な変化はほとんどないので、われわれの本能は遊動時代のノマド的な生活に適応していると考えられる。しかし1万年間の定住生活によって、農業・漁業に適応した文化が形成された。この遊動的本能と定住的文化の葛藤が、人間社会の根底にある。
お勧め書評
進化心理学に疑問を抱く皆様に朗報です、実証研究に基づいた考察本が出ました! - 蒼龍のタワゴト-評論、哲学、認知科学-
『本能はどこまで本能か』