Future is mild logo

インターネットやMac,Windows,日常について月並みな事を

science

本能はどこまで本能か - ヒトと動物の行動の起源

photo
本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源
Mark S. Blumberg 塩原 通緒
早川書房 2006-11
評価

by G-Tools , 2007/04/26

「本能はどこまで本能か―ヒトと動物の行動の起源」マーク・S. ブランバーグ - 好むと好まざるとにかかわらず - 楽天ブログ(Blog)
アンチ疑似科学な貴方は是非読んだほうがいいと思うよ。あ、ページが勝手にめくれちゃうから鼻息抑えてからのほうがいいと思うけどw
ここまで煽られたら疑似科学大好きな俺は読むしかないと思って手にした一冊。 結論から言うと、買え(命令形)。

生物学の本でこんなに目から鱗が落ちたのは久しぶりだ。いつ以来だろう?

敵は本能にあり、と書いたのはキムミョンガン氏だが、この本は"本能"と言う言葉に対して根本的な疑義を挟んでいる。多くの人は割と気安く「本能」という言葉を使うと思うが、果たして本能とは何なのか?

本能という言葉の変遷をプラトンの昔から現在の動物行動学者や進化心理学者までの「本能」を取扱を上げた後、後半でそれらを一つ一つ実証していく。また、併せて創造説或いは最近流行のインテリジェント・デザイン論もばっさり。

例えば、生物に固有の生得性……ほ乳類の新生児が生まれてすぐ母親の乳を求める行動などをみると、生まれつきそう言う行動をするように出来ているように思ってしまう。 しかし、それは本当に「生まれつき」なのだろうか?

そう言った俗説を丹念に実験を繰り返すことによって覆された事例が多々上げられている。いやもう頁をめくるたびに目から鱗が落ちましたよ。まさか、「喉が渇いたら水を飲む」と言う行動すら本能に由来するものではなかったとは…!

重要なのは、“動物が隔離されているか”ではなく、“何から隔離されているか”だ。
ホント、これ重要なんだなあと。

一時期は遺伝子決定論というものが流行って、ヒトゲノム・プロジェクトが完遂した暁には人類のことなど全て分かるかのようにいわれたが、結局分かったのは遺伝子だけが特権的な地位にいるわけではないと言うことだった。

読み進めるうちに、何が生得的なものなのか、何が後天的なものなのか、それを区分けすることが如何に難しいか分かる。
うまくまとまらないのだが、発達・遺伝・学習等の諸々についてちゃんと読みたい人にはお薦めの一冊。

未だにこういうことを書く疑似科学大好きな人には是非読んでもらいたいと思った。
池田信夫 blog 人類史のなかの定住革命 コメントを見る
1万年ぐらいの間では遺伝的な変化はほとんどないので、われわれの本能は遊動時代のノマド的な生活に適応していると考えられる。しかし1万年間の定住生活によって、農業・漁業に適応した文化が形成された。この遊動的本能と定住的文化の葛藤が、人間社会の根底にある。
あと、本書の評判を知ろうと検索をかけたところ余り言及がなかったので是非とも小飼弾氏橋本大也氏には読んでもらいたいと思った。

お勧め書評

進化心理学に疑問を抱く皆様に朗報です、実証研究に基づいた考察本が出ました! - 蒼龍のタワゴト-評論、哲学、認知科学- コメントを見る
『本能はどこまで本能か』 コメントを見る

サイエンスポータル

サイエンスポータル
理系のためのポータルサイト"サイエンスポータル"がオープンしました。
科学技術 全て伝えます サイエンスポータル / SciencePortal コメントを見る
ITmedia News:「研究者が欲しい情報を集約」――サイエンスポータル始動 コメントを見る
理系研究者や学生向けポータルサイト「サイエンスポータル」がオープン。有名研究者へのインタビューや科学ニュース、研究職や研究資金の公募情報などを掲載する。
俺のような一般向け啓蒙コンテンツの他、研究者向けの公募情報や求人情報など、研究者向けのコンテンツが充実しています。俺個人としては、鈴木一義国立科学博物館主任研究官による「からくり人形とロボット」が面白かった。

「研究者や理系の学生が1日1回アクセスし、欲しい情報が得られるサイトにしたい」(JSTの沖村憲樹理事長)としている。
週1回更新、全12回シリーズで、動画ポッドキャストも配信する。科学技術関連の独自ニュースも毎日3〜4本程度更新していく。
公開直後でこんなことを言うのはなんですが、動画Podcastも提供されていますが……何で新着情報のRSS配信を行わないのでしょう?新着情報をRSSで配信すれば、更新されたらすぐアクセスできるようになりますが。それと、ニュース毎にパーマリンクを設定した方がよろしいかと。あと、"ソースが汚い"と言う評判が(^_^;

いずれにしてもできたてのサイトですので、改良を加えて研究者皆様に役立っていただければ、と期待しています。

にしても……

 構築・運営は、技術スタッフ3人、コンテンツスタッフ2人で行い、サイト開設までにかかった費用は約4000万円。今年度中にさらに3000〜4000万円ほどかけて改善していく。
結構な予算がかかるもんですね。。。

関連エントリー

Future is mild : ロボット技術のポータルサイト"robonable "(ロボナブル) コメントを見る

ホンダとATR、脳活動でロボットを操作する技術を開発

最近、NHKを始め、様々なメディアで取り上げられている"ブレイン=コンピューター・インターフェース」(BCI)"/"ブレイン・マシーン・インターフェイス(BMI)"ですが、ホンダとATRから新たな発表がありました。
ホンダとATR、脳活動でロボットを操作する技術を開発 コメントを見る
5月24日、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)は共同で、あらたなブレイン・マシーン・インターフェイス(BMI)を使って、脳活動を計測することでロボットを操作する基礎技術を開発したと発表し、日本科学未来館で記者会見を行なった。
今まで見たものは、脳に電極をさしたり、神経にチップを接続する事によって電気信号を読み取るものが多かったのですが、この技術は外科的処置が不要な事が素晴らしいですね。記事によると
脳に電極を埋め込んだり、訓練の必要がないことが特徴。ヒトの脳血流を使って脳機能を計測するMRIを使うため、ヒトの動作からは7秒の時間差が生じるものの、ほぼリアルタイムに近い速度でロボットを動かすことに世界で初めて成功した。

 実験では、じゃんけん動作をロボットハンドに再現させた。正答率はほぼ85%だという。
となかなかのもの。思考だけでロボットをコントロールしたり、或いは義肢を動かしたり、或いは全身麻痺の人の義体として動かすにはまだまだ先の話だと思いますが、非常に面白い技術だと思います。

参考リンク

進化する「脳−コンピューター直結インターフェース」 | WIRED VISION コメントを見る

関連エントリー

思考によるコンピュータの操作

タイムマシンをつくろう

photo
タイムマシンをつくろう!
P.C.W. デイヴィス 林 一
草思社 2003-06-18
評価

by G-Tools , 2006/07/03

面白かった。そして難しかった。

amazon.co.jpのレビューを抜粋。

本書の前半で著者は、アインシュタインの特殊相対性理論や一般相対性理論、カール・シュヴァルツシルトのブラックホールに対する見解、ホーキングの理論など、物理学の巨人たちのさまざまな理論を検証しながら「タイムトラベル」に関する自らの見解と課題となる点を述べている。決して易しくはないが、読者の知的好奇心を大いに刺激してくれる論考である。

この本で作れるとしているタイムマシンは、引き出しを開けると未来に繋がっていたり、H・G・ ウェルズが描いたような特殊な機械ではない。光と重力の関係に注目し、時空をねじ曲げる"ワームホール"を利用する。 と言うわけで、一般相対性理論や特殊相対性理論、ブラックホールやワームホールと言う言葉が飛び交うので、それらの用語にアレルギーがある人は要注意。だが、そこさえ乗り越えれば、かなり面白い思考実験と言えないだろうか。

俺は読んでてちょっと頭痛がした。

興味深いのは第四章。"タイムマシンに関するQ&A"
何故、タイムマシンの製作が可能ならば、未来からのトラベラーが現れないのか?とか、過去に遡って母親を殺してしまったら?と言う古典的なタイムパラドクスについて書かれている。ここで取り上げられているホーキンスの仮説は興味深い。

実際のところ、第三章で述べられている方法でタイムマシンが製作されるのはまだ何世紀も先の話だと思われる。

だとしても刺激的な話には違いない。

科学の最前線で研究者は何を見ているのか

stars

ええと、とっても難しゅうございました。

"あしたのロボット"で知られる瀬名秀明氏と科学者の対談なのだが、化石とかロボットの話はなんとか付いていけるものの、量子論とか、宇宙論とか、素粒子とか、その辺りになるともう文字を追っても理解は出来ませんでした。世界は面白いなあ。
それぞれの章で、難易度による差はあるものの、非常に興味深い対談が行われている。少し空恐ろしく思ったのは、科学の先端と書いてエッジと現実生活の乖離。なんか、生活者として実感を持てなくて。

心に残ったのは第2部 第6回 人はなぜ「あんなこと」を信じてしまうのか(菊池聡)

その中で出てきた"クリティカル・シンキング"と言う言葉。日本語に訳すと"批判的思考"と言う事だが、決してケチをつけると言う事ではなく、多角的に物事を捉え、正しく因果を把握すると言う思考法の事。リサーチ・リテラシーもそうだが、一見もっともらしい論理でも、突き詰めると単なる偶然の作用であったり、裏に何らかの意図があって導かれたり、と言う事がある。
マスコミでも、ネットでも短絡的な詭弁や強弁が跋扈している現在、このような思考法は非常に大切なのではないだろうか。

hReview by tomozo , 2005/09/18

photo
科学の最前線で研究者は何を見ているのか
瀬名 秀明
日本経済新聞社 2004-07

思考によるコンピュータの操作

ITmediaニュース:「思考によるコンピュータの操作」に成功

以前、猿に電極をさして、コンピュータのカーソルを動かす、と言う実験についての記事を読んだ記憶があるのですが、今度は、人間で、電極を刺さずにPCの操作に成功したと言うニュース。

まだ、カーソルを動かすと言うレベルですが、研究が進めばより複雑な操作も可能になる・・・といいな。今回の被験者は2人の部分麻痺患者と2人の健常者によるものとか。であれば、将来iBotやi-foot(の後継機)の操作が可能になればかなり多くの人が助かるのでは?
晩年、体が弱り、歩くのに苦労した父方の祖母にそういうものがあればと思います。今後の研究に期待です。

でも、最初に思ったのは"ファンネル"ですから!

Syndicate Me

Powered by FeedBurner
Archives
Categories
Profile

Google

※Java scriptが有効である必要があります
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: