内田樹の研究室: 勝者の非情・弱者の瀰漫「弱者に優先的にリソースを分配せよ。だが、それを享受する『弱者』は私ひとりであって、お前たちではない」と人々は口々に言い立てる。 この利己的な言い分に人々は(自分がそれを口にする場合を除いては)飽き飽きしてきたのである。
ネット上で小泉改革を熱烈に支持している人たち - 佐々木俊尚の「ITジャーナル」これらの論を読んで思ったのは、弱者って誰よ?って疑問があり、彼らが"弱者"としているのは実は"弱者"じゃないなんじゃないかなあ、と思ったら、その辺りをクリアにしているブログがあった。いずれも、まるで弱者の愚民がファシズムを支持している――といわんばかりの意見である。こうした意見にネット世論は、真っ向から立ち向かっていかなければならないのではないか。
千人印の歩行器(walking gentleman) - 弱者切捨て俺もこの意見に賛成且つ、俺の意見を補足すると、日本において所謂"弱者"と言うのはまだ顕在化してないのではないかと思う。例えばフリーターにしろ、ニートにしろ、親と同居している限りは生活が困難な状況に陥る事はないし、都市労働者であればホワイトカラーにしろ、ブルーカラーにしろ、少なくとも独身であれば、同じく喰うのに困ると言うほどではないだろう。ギャンブルにうつつを抜かして消費者金融に手を出すのでもなければ。少なくとも、ネットに接続する回線と機器を所有し、ネットにおいて何らかの発言をするものはそれなりの財産とスキルを有しているわけで、決して"弱者"と言うわけではないだろう。 勿論、将来においては解雇、事故、病気、災害、加齢等により、"弱者"に転じる可能性はある。転じて、投資や、企業、或いは出世と言う形での成功、ひいては"強者"になる可能性もある。多くはどちらでもないとは思うが。もし、弱者/強者という分類をするならば、既得権益者とそうでない人びとと分けて考えるか、プレイヤーとしてゲームに参加しているかどうかで判断して欲しい。フリーターであれ、ニートであれ、彼らは弱者としての認識はないと思う。
だから、ネットにおいては"衆愚批判"に対しては強い反発があるのだろうと推測。つまり、相互の認識が乖離しているわけだから。
徳保氏の反応がこれを物語っている。9年遅れで発見された「特異な病像」労組がある会社なんて、労組のない会社を渡り歩いて来た俺からすればもう天国みたいなもので、羨ましい限りなんですが。ちなみに、俺の在籍した会社では"社員の幸せ"を社是としていたにもかかわらず、ボロボロになって退社する人が後を絶たず、入社時に30人強いた同期が3人になり、俺が退社した事によって2人になったがその後は知らず。いずれも労働者に利益の多い話なのに、常に反対する組合員がいます。しかし民主的に運営される労組は、多数派の主張に従う。私の勤務先では、労組と昇進は無関係です。上司だって元組合員、未加入はともかく脱退には冷たい職場もあると聞きます。それでも労組に不満を抱き、脱退する社員が現れる。
労組不要論が出ていますが、労組がない会社ってそんなもの。今後はそういうところが増えるでしょう。 それはさておき、徳保氏が労組に抱く嫌悪感こそが、内田樹氏が
その「弱者の瀰漫」に当の「弱者」たち自身がうんざりし始めている。と言う事なんだろうと思う。徳保氏はとても"弱者"とは呼べないので、当然の如くの反発。
ちなみに日本の労組はどちらかと言うと経営との共犯関係にあったがゆえに衰退したのだと思う。労使協調って奴ですな。故に存在意義を失い、機能不全に陥ったと。
日本人は利己主義者か?どこのリストラも対象は中間管理職だけどね。ただし、日本人は利己的ではないと言う意見には賛成。異議申し立てを出来る"選民"が結局のところ多数派ではないだけ。入社した年の暮れに発表された大規模な希望退職計画の顛末も興味深い。当初は一定年齢以上の社員全員に対して面接を行う計画でしたが、労組の断固反対によって、100名以上の社員を集めての説明会へ変更されました。課代以上(管理職扱い)の社員は組合員ではないので、計画通り個別面接。決して強制ではなかったというものの、希望退職者の大半が管理職だったのが偶然のはずはありません。
まあ、それはおいておいて、徳保氏の文は内田氏と同じ。ただ、"弱者"の定義が異なるに過ぎない。ついでに申し上げると、成果主義に対する幻想は捨てた方がいい。これは歩合制の仕事をしてみれば実感できると思う。 って言うか、徳保氏って凄い恵まれているのね、羨ましい。 まあ、反小泉派は構造改革によって階層分離、二極化が進むと主張しているわけだが、現時点においてはそれは予兆はあるものの顕在化していない。有権者は、"弱者"ではなく、"挑戦者"として先の選挙に挑んだんだと俺は解釈している。その是非は今後の推移を見なければ分からない。
ところで内田氏のエントリーへのトラックバックに一点痛々しいものがあった。
内田樹「勝者の非情・弱者の瀰漫」……強者・弱者の定義をもう少し考えてみよう!馬鹿でねえの?地方には、貧乏人が住めねえからだよ。首都圏から地方に行ってみればよくわかる。首都圏に住む庶民より地方住民は格段にいい暮らしをしている。所得面はいうまでもないが、資産面での格差を考えると、その格差は驚愕するばかり。世界でも一番生産性の低い日本の「弱者」であるという農業家計が、なんでこんなに豊かであるのか。