俺は経済学って割と偏見を持って見ていて、特に***学派を標榜するものは、眉につばを付けてみるようにしている。と言うのも、それらの学説はあくまで架空のモデルに基づくもので、実生活ではそれらに反する事例に多々遭遇するからだ。
で、本書はと言えば、もう面白くって頁をめくる手が止まらないほどだった。
前書きで共著者の一人の経済学者レヴィットの風変わりなモノの見方、人柄が紹介される。
それを枕に、所謂「通念」を丹念にデータを調べることによってどんどんひっくり返していく。相撲の八百長なんかはまあ今更言い立てるほどのことではないが、犯罪と中絶の関係には蒙が啓かれる思いがした。
この本のキモは「変数」にある、と俺は感じた。世の中の事象にある無数の「変数」から丹念に「因果」と「相関」を切り分けていく地道な作業。これらが世の中の仕組みを解き明かすための必要なことなんじゃないかな、と本書を読んでそう考えた次第。世の中、因果と相関を混同しているのって結構あるように感じているし。
難点を上げるとすれば、"ヤバい経済学"と言う邦題か。原題の"Freakonmics"の方がよっぽどしっくり来ると思うんだけど。ま、それは置いておいて文句なしにお薦めの一冊。