読書好きの人ならピンときたかもしれないけど、ポォ、ウェルズ、クィーンへのオマージュとなっている。正直言うと、クィーンに関してはBK1の説明読むまで気がつかなかったけど。
本書も『デカルトの密室』と同様、"知性"や"意識"とは何か?と言うテーマが根底に流れており、そう言った事柄に関して知的好奇心が無い人には少々取っつきにくいかもしれない。特に、『第九の日』にはそれにキリスト教まで加わるから尚更。そう言えば、いっとき瀬名氏のブログでやたらC・S・ルイス(ナルニア国物語の作者)が取り上げられていたが、本書を読めばそういう事だったのかと言うのが分かる。
また、現代テクノロジーのちょっと先のテクノロジーを取り扱っておりで、例えば、『決闘』ではBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)が取り上げられている。そう言った意味でSFと現代小説の境界辺りに位置しているのかな、と思う。
『第九の日』は終わり方がちょっと救いが無い感じで、これで終わっていたらちょっと読後感がよろしくなかったが、『決闘』で救済された感じ。個人的には『決闘』が一番好きな一遍。ちょっとそれまでとは毛色が違うけども。
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