空間認知と行動の不思議
俺は割と方向音痴で、車で移動する時はカーナビゲーションが、徒歩でみしらぬ場所へ行く時はiPhoneのマップが大活躍な訳です。しかし、何故人間道を間違えるのか。それにも関わらずここまで繁栄できたのは何故か…?本書は、空間認知とそれに起因する行動様式について多面的にアプローチする一冊。
パート1では人間の他に、蜂や蟻、鳩などがどのように空間を認識しているか、また、南太平洋や北極圏、砂漠などの過酷な環境において、見事なナビゲーション能力を獲得した民族が,どのように空間を認識しているか。
パート2では空間からのアプローチを。家屋で、職場で、都市で…とスケールを拡大しながら空間と人間の行動の関係を解き明かす。その過程で何故ル・コルビシュの都市計画が失敗し、スラム化がすすむのか。またスプロール現象とコペンハーゲン化等について興味深い記述が見られる。特に受けたのが、いわゆる『共有地の悲劇』の誤りを実証的に示したところ。あれは茹で蛙と同じぐらい馬鹿馬鹿しい(例え)話だと思っているので我が意を得たりという感想。
サブタイトルにGoogleアースとあるが、ジオキャッシングを含めそう言ったネタは少なめでそちらを期待すると期待はずれかもしれませんが、個人的には興味深い知見が得られる読書でした。
hReview by tomozo , 2010/07/27
- イマココ――渡り鳥からグーグル・アースまで、空間認知の科学
- コリン・エラード Colin Ellard 渡会 圭子
- 早川書房 2010-04-22
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