ケータイ小説のリアルのアンリアル
ケータイ小説関連の話題に乗っかろうと手に取った一冊。しかし何だ…この現実感の無さは!
まず、気になるのが、本書に登場する人物の殆どが「匿名」であること。
北関東のチェーン店の書店員だとか、ケータイ小説を手がけた若手編集者とか、いずれも「名前」がない。名前が出ているのは幾つかの書籍からの引用の際に出てくる筆者名ぐらいであり、皮肉にも「ケータイ小説的」を上梓した速水氏の名前が「自分探しが止らない」の引用の際に登場する。こういった匿名コメントの寄せ集めで記事を更正するのは週刊誌の常套手段だが、おかげで本書の内容が実在の人物の言葉で書かれているのか、それとも筆者の妄想に過ぎないのか判別が付かなくなっている。
批評としてもルポタージュとしてもこれはとても評価するに値しない…等と思ったが、暫くしてふと思い当たった。
これは、ケータイ小説の高度なパステーシュとして書かれたのではないだろうか?
みたいな。
hReview by tomozo , 2008/10/07
- ケータイ小説のリアル (中公新書ラクレ 279)
- 杉浦 由美子
- 中央公論新社 2008-05-08
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