世界的食料危機に備える
ここ最近,原油高に続いて騒がしくなってきた食料高騰について気になっていたので手に取った。書名はあおりが入っているが,内容は市場分析に寄るまじめなもの。
第1章 マルサスの悪魔がやってくる
第2章 飽食の時代とそのわな
第3章 脅かされる大地
第4章 高まる食卓への不安
第5章 立ち遅れるなニッポン
筆者は,前書きで
特に、食料が有限性を帯びてくるなかで,世界では限られた食糧を巡って三つの面での争奪戦が強まる可能性が強い。と述べており,以下本章で個々の問題について論じている。通じて読んでみるとわかるが,一部の新自由主義者が主張するように,補助金を撤廃したり,輸出規制をやめて市場メカニズムに委ねれば解決する,と言った単純なものではないということ。
第一は国家間の争奪戦。
第二は市場間の争奪
第三は工業部門と農業部門の水と土の争奪戦
特に読むべきは第1章で,食料問題の構造的脆弱性を詳らかにしている。食料問題に関心がある人はここだけでも読んでおくべき。
第5章において日本の農業政策への提言がまとめられているが,遅々として進まない農業改革をみていると…
しかし穀物自給率28%というのはほんと危険な水準だよなあ…
通じてグローバルな視点で食糧問題を論じており,統計等を駆使した説明は説得力が強いが,現場の声が聞こえてこないという点で臨場感に欠けるなあ,とも思った。
hReview by tomozo , 2008/05/26
- 食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日
- 柴田 明夫
- 日本経済新聞出版社 2007-07
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