昨今ネットでは「悪者」とか「黒幕」として扱われることが多い電通についてのレポート。割とセンセーショナルに扱われることが多い題材なので眉につば付けて読んでみたけど、割としっかりした内容だった。
電通が幅広く『広告』という業務に携わっていることは知っていたが、万博まで絡んでいたとは不勉強で知りませんでした。しかし、唐突にブログを読んでいる吉田望氏の名前が出てきて驚き。
- 広告業界制覇のカラクリ
- テレビを支配するメディアの地主
- 公正取引委員会が本格調査に着手した広告業界
- 新聞社にも圧力
- 葬式から五輪・万博まで
- 永田町との深い関係
- ブランド人材を買い漁る
- 電通前史 テレビと広告に転機はくるのか
- 対談 大下英治×佐高信 「小説電通」の作者が語る舞台裏
昔から言われている「日本では比較広告は馴染まない」という一種の都市伝説だが、一業種一社制となっていないことがその理由だったか。何となくは知っていたけど。
あと、小泉政権の代名詞『ワンフレーズポリティクス』が電通の発案というのは噴飯ものだと思った。サウンドバイトなんて80年代には確立されていた手法だろうに、何を今更。いずれにしてもメディアのシフトが始まっている現在、電通も今までのようには行かないだろうし、電通の影響力と言われると、個人的にはぴーんとこないのが正直なところ。元々それほどテレビを見る人ではなかったし、最近じゃCMスキップばかりですし。寧ろ『電通』を祭り上げる人が電通の影響力を増幅してはいないだろうか?と言う感想を抱いた。
岩本太郎ブログ(私の退屈な日常) - 「電通の正体」に出演(?)実際の広告・広報に携わっている人も同じような感想を持つのではないだろうか。信徒ではなく、"消費者"を相手にしているわけだし、そんな都合よく世の中動かせないよね。それは別に個人的に彼と面識があったからということだけではない。『週刊金曜日』の特集にしても、どうもメディアが電通について取り上げる場合、従来型の「巨悪・電通」「最大のメディアタブー」とかいったステロタイプな図式に落とし込もうとするのだけど、いちおう広告業界誌で記者をやっていた私の経験から言わせてもらえば、その図式で広告業界なり電通を斬るには、既にあきらかに「限界」が見えてしまっているのだ。
ただ気になるのは、Googleで書籍名で検索をすると、大抵Amazon.co.jpが広告を出しているのに本書では出していないこと。こんなことは『拒否できない日本』以来ですね。もっともYahoo!(と言うかoverture)の方には出していますが。
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