この本は危険だ。非常に危険なことをさらりと述べている。
人間よりもガイアが重要だ、と言うことが再三主張され、大気中の温暖化ガスの濃度が適切な温度を保てる閾値を越えたもしくは越えつつあると警告する。持続可能な成長や再生可能なエネルギーと言うのは馬鹿げた主張で、もっとも効果的な対策は原子力エネルギーの活用だと。
ラブロックの主張はまずガイアがあってこその人類であり、その対策こそが急務だ、と言うことだが、この理屈って環境ファシズムに利用されそうだなあ。あと、再生可能なエネルギーに言及する際、現在のトレンドを無視したことを記述しているのは意図的なものなんだろうか。それとも単純に知らないだけだろうか。
本書を通読して思ったのは、ラブロックの主張が第二次ネオ・ジオン戦争におけるシャア・アズナブルの主張と似通っていること。ところでラブロックが原発を推進するのは実は温暖化ガスを排出しないエネルギーとしてではなく、チェルノブイリ効果を狙っているのではないだろうか。「地球が持たん時が来ているのだ」
「地球に残っている連中は地球を汚染しているだけの、重力に魂を縛られている人々だ」「世界は、人間のエゴ全部は飲み込めやしない」
「人間の知恵はそんなもんだって乗り越えられる」
「…ならば、今すぐ愚民どもすべてに温暖化ガスを削減する英知を授けてみせろ」「地球上に残った人類などは、地上の蚤だという事がなぜわからんのだ?」
「結局、遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がって地球を押しつぶすのだ。ならば人類は、自分の手で自分を裁いて自然に対し、地球に対して贖罪しなければならん。」
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さらにこの記事の終り近くでは、ガイア仮説で知られる James Lovelock が、興味深いことを語っている。曰く、「若干の核廃棄物を熱帯雨林の中に置いておけば、人が近付かなくなるので、熱帯雨林の自然も復活するのではないか」だそうだ。
「それで、地球を潰すんですか?」本書の中にあっても全く違和感のないセリフだ。
「潰しはしない。地球にはちょっと休んでもらうのさ」
と言うことで、本書のタイトルは「逆襲のガイア」にすべきだったのではないだろうか。
参考リンク
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