GoogleによるYouTube買収から一晩たったわけですが、昨日は多くのブログがこの件について大騒ぎでした。
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たった今入ったニュースだが提携が成立した。買収額$1.65B(16億5,000万ドル)はGoogle創業以来最大のビッグディールとなるが、これは全て株式譲渡で行う。両企業とも役員会で承認を得ており、今四半期中に取引完了となる見込み。YouTubeの社員65人は同社の現本社(San Bruno サンブルーノ)でこれまで通り業務を行う。
ラウンドアップ:グーグル、ユーチューブの買収に合意--買収金額16億5000万ドル - CNET Japan コメントを見る
検索大手企業のグーグルが米国時間10月9日、ビデオ投稿サイトのユーチューブを16億5000万ドルで買収すると発表した。買収は株式交換によって行われる。両社のプレスリリースによれば、ユーチューブは今後も独立したサービスとして運営されるという。グーグルによるユーチューブの買収は何日も前から噂されていた。
俺は今回の買収は対MySpace(とその親会社Fox Interactive(とその親会社News Corporation))に対抗するものではないだろうか、と考えている。

日本においてはナンバー1動画共有サイトはYouTubeだが、世界的に見るとMySapce Videoの勢いは凄い。Google VideoすらBloggerやLive Journal,TypePadの他MySpaceへの貼り付けを標準でサポートしているほど(YouTubeではBlogger,Live Journal,FriendSter)。

YouTubeは新たな提携を発表したが、その中にはFoxは含まれていない。
TechCrunch Japanese アーカイブ 》 FoxはGoogle/YouTube契約の一因か コメントを見る
MySpaceを所有するFoxの内部情報筋によると、「Googleが$1B(10億ドル)規模の広告契約関係をMySpaceと持っていることを考えると、GoogleがYouTubeを積極的に買収しようとしているのに(Foxは)驚いている」らしい。MySpaceはYouTubeをライバル視しているし、Myspace Videoが急速にYouTubeを追い上げている事実を最近のHitwiseのデータは示している。
ちょっとAlexaでページビューを確認してみよう。(比較対象としてYahoo!Japanも加えた)

言うまでもなく、Google.comやMySpace.comは動画だけの数値ではないのだけではないし、そもそもAlexaのデータの信用性の問題もあるけれど、それを差し引いてもMySpaceが猛烈に伸びているのが見て取れる。まあ、このページビューにはカラクリがあるらしいのだけども。

今回の買収の成果について疑問を投げかける向きもあるが、俺は以前、YouTubeとGoogle Videoを利用した経験から、両サービスは相補的に作用するのでは、と思っている。今回の買収でYouTubeとGoogleが得たものを列挙する。

YouTubeが得たもの

Googleが得たもの

  • ブランドに忠実なコミュニティ
  • トラフィック/PV
  • 著作権絡みのトラブル
いずれも既にMySpaceにはあって、YouTube,Google Videoには欠けていたものだ。特に、YouTubeの致命的な欠陥は、アップロードすることに対する対価が非金銭的なものに限られると言うことだ。クリエーターにとって、作品に対する対価が得られなければYoutubeに投稿し続ける動機は少なくなるだろう。Google Videoならば自分がポストしたビデオに課金ができる。
また、Googleはコミュニティ形成が苦手と見ている。orkutも結局Googleブランドでリリースされることはなかったし、すっかり過去のサービスだ(ブラジル以外では)。

こういった両社の特徴とMySpaceの影響を考えると、買収は必然だったのではと言う気がする。まあ、実際に効果が出てくるのはまだ先だと思うけど。

それにしてもルールが変わったとか、大人の企業になったとか、NASDAQの替わりになったとか書いているブログを見ると気持ちが暗くなってくる。

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