stars お金を払ってまで読む価値はない

各所で話題になっているので手に取った書籍。結論から言えば、まともに評論するに値しない書籍といえる。データをちりばめて、一見社会学風に装っているものの、実際のところ筆者の印象を書き連ねたエッセイに過ぎない。
まず、本文中取り上げられているデータが、統計学的有意性を欠いている事。こともあろうか、それについて言及しているのがあとがきというお粗末。もし、読者に対して誠実であろうとするならば前段に明記すべき事項だろう。

また、その調査範囲もせいぜいが東京近郊までであり、それ以外の地域は別世界扱いである。これを以て「日本」について語るのは極めて暴論としか言い様がない。もちろん、それについて特に言及もない。
それ以上にこの本が腹立たしいのは、若者、特に筆者が「下流」と見做す若者に対する印象操作が甚だしい事だ。

筆者風に指摘するならば、

それにしても、マンション住まいで子供を私立学校に行かせるような三浦が下流について書くこと自体皮肉としか言いようがない。
と言うか、本来の意図は下流と見做す若者を貶す為に書いたのでは?と邪推されても仕方ないだろう。 Amazon.co.jpのレビューを読んでも、多くの人が疑問を投げ掛けている内容だ。

にしては、メディアに取り上げられているのは何故か?と言う疑問が付いて廻るのだが、きっと恐らくこの本をことさら取り上げるような人は東京視点でしか物事を捉えられない「東京脳」の持ち主か、まともな読解力がないか、下流と見做す若者を貶したいか、のいずれかと思う。
取りあえず、お金を払ってまで読む価値はない、と言うのが俺の結論。

最後に、俺がもっとも的確だ、と思う書評をリンクしておく。
三浦展、『下流社会』 - Words and Phrases コメントを見る

hReview by tomozo , 2005/12/18

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下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展
光文社 2005-09-20