FujiSankei Business i. 総合/初のブログ選挙 新メディアが世論動かす 1300億円市場に企業沸く(2005/8/14)
日記形式のホームページ「ブログ」が、九月十一日に投開票が行われる衆議院総選挙をめぐる世論形成に影響を与えそうだ。今月八日の衆院解散決定後、人気ブログランキングで総選挙や郵政民営化をテーマにしたものが上位に並び、ブログの運営サイトも相次いで総選挙特集を始めた。
上高地にて参院での郵政民営化法案の否決を知りました。正直僅差であっても可決すると思っていただけに意外。それを受けて小泉首相は衆院を解散。選挙シーズンに突入と相成りました。

昨年からのブログブームと相成って、日本でも先の米大統領選のようにブログが政治に影響を与えるのでは・・・という期待があるようで。

ざっとリスト化すると

果たして先の米大統領選のような盛り上がりを見せるのか?見せると思います、衆愚的に。

争点について

小泉内閣総理大臣記者会見[衆議院解散を受けて] コメントを見る
私は本当に国民の皆さんが、この郵政民営化は必要ないのか、国民の皆さんに聞いてみたいと思います。言わば、今回の解散は郵政解散であります。郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか、これをはっきりと国民の皆様に問いたいと思います。
小泉首相は今回の選挙を"郵政選挙"と位置づけているわけだが、そこだけに囚われると視野狭窄を起こすだろう。実際起こしている人もいるし。まあ、それが小泉首相の狙いだと思うけど。俺は"郵政民営化"は大事だと思うし賛成だけど、これは"総選挙"であって"国民投票"ではない。

少なくとも"憲法改正案"ぐらいは考慮に入れるべきだろう。

自民党憲法改正案
民主党憲法改正論議
その上で、今回の解散については"R30"氏の見方が最も的確だと思う。
[R30]: 郵政解散は「叡山焼き討ち解散」か? コメントを見る

逆にちゃんちゃらおかしいのがgori氏

Irregular Expression: やはりマスコミがひた隠しにする郵政解散の理由と争点 コメントを見る
小泉首相のレトリックに乗せられすぎ。

馬鹿丸出しなのが次の部分。

そしてこれを補完するのが、コメント欄でも紹介してあった、自民党中川秀直国対委員長の↓この発言

「歳入が40兆円しかないのに支出が80兆円もある。こんな事で国が持つ訳が無い。80兆のうち40兆は公務員の給料。それを削るには公務員を減らすしかない。だから経営が優良な郵政からやる。これが出来なきゃ公務員なんか減らせるわけ無い。日本は持たない」
まず、郵政公社の給料は郵政公社の利益から出されており、歳出の削減には繋がりません。更にそもそも論ですが、歳出の半分が人件費というのは"経営"として大いに問題があり、これが事実なら今まで予算及び人事を担ってきたものは即刻クビにすべきです。そしてもちろんのこと、こんな数値はまやかしですから。政権を担ってきた与党及び財務省がそこまで間抜けなわけがないじゃないですか。

この人の論は一次情報以外からネタを引っ張ってきている辺り確信犯なんだろうなあ。しかも
(注:この中川発言の数値に関しては諸説ありますので興味のある方はこのエントリーのコメント欄での論争をご参照ください。いずれにせよ今後加速する少子高齢化へむけて公務員数削減は必要不可欠である事は間違いありません)
卑怯な逃げだな。

論点がずれていると思ったのは徳保隆夫氏のこのエントリー。

なぜ、郵政公社を民営化するべきなのか? コメントを見る
今回の選挙で問われているものがあるとすれば、それは国民の意識です(毎度のことですが)。郵政を民営化して、私の明日の生活にどんな利益があるのか? 田舎でサービスが低下するんじゃないのか? そんなことばかり考えている国民は、どうぞ民営化反対論者に与したらいい。人類ってのはそうして滅んでいくんですよ。
財政の問題と郵政の問題を混同しているよ。ヒロイックな犠牲的精神を持って。で、疑問を持つ人を衆愚と断じている。なんだかな。

郵政公社の現在

不思議なことに、郵政公社の経営はメタメタと言う論調で話が進んでいるようなので、ちょっと財務状況を調べてみた。 郵政公社のIR情報より、16年度の財務状況を引用(元ネタはPDF)

経常収益20,633,322,881,873(割合)
郵便事業1,890,545,509,0209%
郵貯4,095,089,862,70620%
簡保14,647,687,510,14771%

純利益は?1,237,893,506,686。トヨタ自動車並みの利益だ。ちなみに、郵便事業においては、ヤマト運輸の売り上げの2倍近い。

突っ込みたくはないのだが、gori氏は民主党の郵政改革案のデタラメっぷりを検証と言うエントリーにおいて自分のでたらめっぷり現在郵政公社の収益は6−7割が金融事業(郵貯/簡保の取扱)で稼ぎ出している、を明らかにしているわけです。

こういう現実の数字を無視して"気分"で論を進めることは非常に危険。

民営化した際のリスク

小泉首相の演説から引用。
むしろ民間人によってこの郵便局のサービスを展開していただければ、今よりももっと多様なサービスが展開できる。国民の利便を向上させる。国民の必要とする商品なりサービスを展開してくれると思っております。いまだにその主張、考え方に変わりはありません。
この件に関して、徳保氏は醒めた見方をしています。
民営化すればいいことがたくさんある、なんてのは嘘です。ユニバーサルサービス実現のために、郵政公社は無理に無理を重ねています。それでも何とかギリギリ黒字を保っていますが、民営化されれば、もう少し経営を安定化させたくなります。例えば田舎の郵便局は、「コンビニエンスストアなんだけど、郵便局もやっています」あるいは「ポストと無人機があるだけ」といった簡素な形態となっていくでしょう。
確かに、ギリギリトヨタ自動車並みの利益しか出していない郵政公社は民営化されたらサービス低下は免れないでしょう。まあ、つまり徳保氏はユニバーサルサービスの維持を確約し、民営化によってサービスが向上するという小泉首相は嘘つきだと断じているわけですな。

まあいいや。

郵政民営化、支持はするけど心配もしているのできちんとリスクを説明してよ。って思いません?
俺の心配は、民営化された巨大金融機関"元郵貯""元簡保"がうまく運営されるのっていう点。政府案では2017年には完全民営化するわけで。運用に失敗したらどうするの?

って言う点。ちゃんとしたノウハウがあるのだろうか?10年かけて勉強するのだろうか?

UFJの様になるのでは・・・と言うのがUFJに金を預けている俺の心配点。

そういったリスクについて論じているのはあまりないが、All Aboutに参考になるものがあった。
小泉内閣がすすめる郵政民営化でなにが起こるのか? 郵政民営化議論ここがポイント! - [よくわかる政治]All About コメントを見る
窓口についてはさほど心配はしてないんだけどね。ただ、軽々しく"田舎には我慢してもらう"、と口にしてもらいたくない。

観光地でない田舎に行ったことがあるのだろうか?

そこの現実を見つめてものを言って欲しい。
それに田舎も選挙区だし。

改革の向こう側

小沢一郎氏は"政治改革"だった。橋本内閣のときは"行政改革"だった。そして小泉内閣では"構造改革"

それは痛みを伴ったが、大いに成果を上げたと思う。間違いなく小泉首相は歴史に残る名宰相だと思うし、その政局に対するしたたかさには恐れ入る。強権批判は間違いだと思う。

で、そのあとに何が来る?

徳保氏は財政均衡のための行政の質の低下と増税だという。俺はこれは間違いだと思うが、それを受け入れる徳保氏の覚悟は賞賛されてしかるべきだと思う。

ただ、そんなことしたら間違いなく経済が縮小して破綻すると思うけどね。橋本内閣の時のように。

国民はと言うと俺は国民の一人だが国民の総意ではないので一人称に変更して、俺は増税に対してやぶさかでない。所詮バブルを知らない世代だし。だが、その前提となるのは歳出の見直し。 支出の割合・内容の見直しだけでなく、例えば業務のプロセス見直しによる生産性の向上とかも必要だろう。納税と言う投資に見合った国造りが見えなきゃ納得がいかないさ。俺はマゾじゃないし。財務省のサイトには色々情報が載っているが、所詮官僚の作文に過ぎない。と言うのは言い過ぎだが、次世代のリーダーによるビジョンを見せてもらいたい。

振り子を揺らせ

まあ、そんなこんなで色々考えて少々不眠気味だけど、とりあえず現時点では民主に投票するつもり。結局、自民党と言うのは"利"の政党であり"理"の政党でないと考えているから。それは極めて即物的で現実的で且つ上手く機能してきたけれど、ここらで"理"に振らないとやばいのでは、日本が。

それとやはり官僚との繋がり。官僚は別に悪人でも馬鹿でも無くむしろ俺よりも優秀な人ばかりだろうが、一つの組織にいる限り、その組織における利益とは無縁ではいられない。どうしても与党を続けると政策が官僚の発想に近づいてしまう。

そのために一度民主に政権運用を経験してもらい、上手くいったらもうけ物。失敗したら下野し"理"を研ぎ澄ました自民に交代してもらえばいい。

振り子は時々振らなければ。

まとまらない

現状も流動的であり、考えが上手くまとまらないがとりあえず、"大きな政府""小さな政府"と言うレトリックの使用はもうやめてもらいたい。結局のところ、どこにどれだけ投資するかと言う優先順位の問題であり、誰も好き好んで無駄遣いなんぞしようとは考えていない。あと、単純なレッテル張りによる決めつけが横行しそうな気配を感じてなんだかな。マスコミ批判しながらマスコミのネタ持ってきたりしてね。もっと事実と数字に基づこうよ。 政策に対する考え方は到底同意できない徳保氏だがこのエントリーには感服した。

郵政民営化反対サイトのご紹介(+参考リンク集)

特に余談の部分。

そうそう、日本にも"FactCheck.org"みたいなサイト無いかな。

寝不足だ。。。