ITmediaニュース:「iPodがiWasteに」ーーAppleのリサイクル対策に批判
Appleは「芯まで腐っている」として好戦的な環境保護論者らから激しい非難を受けている。と言うことで、"Computer Take←Back Campaign"(CTBC)の標的となっています。今後1年を通じて抗議活動を行う予定とか。ちなみに昨年のターゲットはDell。

CTBCの活動家はMacWorld SF 2005でも抗議活動を行いました。その様子は、Cnetのフォトレポートに載っています(一番下の写真)。彼らのWEBサイトにある"iPod CM風画像"と同様の横断幕と山積みになった初期型iMacが見えるはず。
AppleはIntel等のPC関連大手と共に、eBayの立ち上げたリサイクル戦略"Rethink"に参加していますが、Appleが標的となったのは、

Appleを標的にしているのは、同社のデジタル音楽プレーヤーのバッテリーが交換しづらい仕組みになっていることや、使っていない、あるいは故障しているコンピュータやノート型コンピュータのリサイクルのために同社がユーザーに30ドルを課しているといった理由からだ。
と言うことです。
なお、彼らの主張はこうも書かれています。
We know that Apple can do better: Apple does a lot better in Japan and Europe by offering free computer recycling programs. Why can't Apple do the same as HP and Dell, and offer free, convenient US take-back of its products?
少なくとも日本における取組は評価されているわけですね。 (参考:Wired News:電子機器廃棄物対策で日欧に後れをとる米国)

但し、確かにApple製品は環境対策の3R("Reuse"(リユース),"Recycle"(リサイクル)、"Reduce"(リデュース))の観点からすると低い点数となります。

Reuse(リユース)

まず、Apple製品、特に一体型の製品iMac,eMac,iPodは部品の交換が難しく、再生利用のネックとなります(不可能ではない)。例えば、iPodのバッテリ交換は15,750円です。"iPod shuffle"が替える値段となります。 X86 CPUを搭載したPCの多くはある程度規格化されているので、同じケースでマザーボードのみ交換とか、ケースの使い回しが比較的しやすい。
また、NECは"「NEC Refreshed PC」〈Enhanced〉"ブランドで再生PCの販売を強化しています。TVCMも流れているので目にした方も多いでしょう(リンク先は準備中です)。 但し、Mac miniはMacとしての賞味期限を終えた後も、弁当箱として使用できる仕様となっています。また、iMac(CRT)は水槽としての再利用が推奨されています。

Recycle(リサイクル)

リサイクルという観点からすると、Apple製品はポリカーボネート(PC)を多用していることも指摘おくべきかもしれません。これは音楽CDにも使われている素材で、リサイクルしにくいことで知られています。初代iMacが世に出た時、デザイナーの川崎和男氏がその点を強く批判していたことを思いだします。最近では、 帝人化成株式会社がリサイクル技術を開発したそうです。(→プレスリリース) と、ここまで書いてなんですが、Appleのサイトによれば、ポリカーボネートはリサイクルしやすい素材らしい。実際どうなんでしょう? この分野では、富士通が生分解プラスチック部品をノートPCに採用しています。今後は他社にも採用が増えると思われます。

Reduce(リデュース)

リデュースの観点からすると・・Apple製品はいずれも魅力的で世に多く出回っています(笑)。製造段階での取組は進んでいると思いますが。そういった意味では、Mac miniと言うミニマムなMacは優秀かも。

Appleの環境への取り組みはこちらに詳しくかかれています。

アップル - 環境

CTBCは、ノート型コンピュータのリサイクルのために同社がユーザーに30ドルを課していることを批判していますが、日本でも同等のコストがかかります。リユースにしろ、リサイクルするにしろ誰かがコストを負担しなければならないのは自明です(でなければより多くのコストを負担する羽目になる。)。
日本では、2003年10月1日より、「資源有効利用促進法」に基づいて、メーカーとユーザーが協力しあって、家庭のパソコンを再資源化するPCリサイクル事業が始まりました。現在出荷されているメーカーPC(もちろんAppleも)のほとんどは"PCリサイクルマーク"が付き、販売価格に回収費用が上乗せされています。
かつては廃棄されるPCの増大が問題となっていましたが、各社の取組で改善されつつあるようです。ただ、個々人の良識や、メーカーの取組だけでは解決しない問題です。互いに協力して、少しずつでも改善していくことを望んでやみません。

参考サイト