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ビーイング・デジタル

stars ビーイング・デジタル

元々は1995年に出版された本の2001年に再販されたもの。即ち10年前の本なのだが・・・・その多くが未だに通用する内容である事に驚かされる。
ニコラス・ネグロポンテ教授といえば最近では100ドルラップトップで話題を攫っているが、かつては来るべきデジタル時代の予言者の様な役割を果たしていた。WIred誌日本語版に掲載されていたコラムを読んでは胸をときめかしたものだ。

当時からして、「楽観的過ぎる」と言う批判はあった。しかし、あとがきに見られるようデジタル社会における悪影響についても正確に予測している事が読み取れる。それを敢えて楽観的に説いていたのが本書だろう。
刊行されてから10年が過ぎ、実現された技術未だ実用化されていない技術(VOD、ロボット等)があり、全てが本書の通りに進んだわけではない。しかし、ドッグ・イヤーと称される時代を振り返る際にそしてまた未来を考える際に良い参考書となるだろう。

hReview by tomozo , 2005/12/10

インターネットは民主主義の敵か

stars インターネットは民主主義の敵か

結構挑発的な書名だけど、原題は"Republic.com"。日本語風にすれば"共和国(or制)ドットコム"。
ちなみに、興味を持ったきっかけは週刊アスキーの連載『地球村の事件簿』。

歌田明弘の『地球村の事件簿』: はてなダイアリーがテロを撲滅する? コメントを見る
このようなことが書かれていた。
インターネットは、過激な思想やニッチな欲望を共有し理解し、それを育む。では、インターネットは危険な道具なのか。
 いやいや「リンク」というのはそうした思想や欲望の雪だるま現象を防ぐ働きもするはずだ、と言っているアメリカの憲法学者がいる。
 どうすればいいのかというと、強制的に、対立する考えのサイトにリンクを張るルールにすればいい、というのだ。もっと効果的な方法は、党派的なサイトを見ていたら、反対の考えのサイトに無理やり飛ばすなり、ページが開くようにすればいい。
 キャス・サンスティーンという憲法学者の『インターネットは民主主義の敵か』は、まじめで堅い本なんだけど、こうした指摘をしていて、これには思わず笑ってしまった。冗談でも何でもなく、まじめにこうした唖然とするようなことを書くとは、なかなかスゴイ学者だ。
とりあえず、乱暴に要約すると、情報技術の進歩によって"フィルタリング"技術が向上し、人々は"自分好みの"情報だけを得ることが出来るようになる未来。ニコラス・ネグロポンテ教授が"Daily me"(デイリー・ミー)と名付け、ビル・ゲイツが自著でその実現を予言したもの。 かつて、輝かしい未来と思われた"パーソナリゼーション"が、民主主義にとって危険だと著者は説く。同じような意見、考えのばかりが集まってそれが増幅され先鋭化していく。"エコー・チェンバー"で響きあう"サウンドバイト"が人々を分断し、、サイバーカスケード現象を起こす。

ちなみに、"エコー・チェンバー"とは磁気の録音、再生による複数の遅延音発生器。テープ・エコー(All About【DTM・デジタルレコーディング用語辞典】 最新キーワード300)のことで、サウンドバイトとは ((ニュース番組などで抜粋引用される政治家などのコメントの一部分))(goo辞書)
先の総選挙の時に、色々なブログを見て回ったが、同様の感想を抱いた。極論とも思える意見に対し、賛意を示すコメントが複数付いており、正直寒気を覚えた。ブログのコメント欄はともかく、2チャンネルに代表されるような掲示板などでは更に"場の圧力""同調圧力"(="空気嫁")が強く作用するだろう。嫌なら出て行けばいいのに、と言う言葉とともに。

もっとも、はてなブックマークには冷静な意見がコメントされていたわけだが。
そういえば遥か大昔、Yahoo!の検索結果にLycosやInfoseekへのリンクがあった時代があったけ。牧歌的なインターネットの黎明期。あの頃のインターネットは希望に満ちあふれていたよなあ。

筆者はサイバーカスケード対策として"反対意見への強制リンク"を提唱していて、それが歌田氏に"はてなダイアリー"を想起させたというわけだが。あながち的はずれではないような気がする。色々ブログを見て回っているが、俺が見ている範囲で"はてな"程様々な議論が広げられている所は無い。ユーザー層の偏りは感じるけども。
ここから本の話とは離れるが、最近は"パクリ"やら"DQN"関連でブログが炎上したり社会問題になる事例が多いと思う。ネットには現実社会のようなしがらみや体裁を気にしなくても良い分、やたらと"正義"を振りかざす人が多いような感じがする。

現実社会においては「それは正論だけど色々事情が・・・・」で濁されることが、ネットでは"パクリだ!""犯罪だ"と糾弾されるような気が。いわば、子供の正義が大手をふるってまかり通る世界というか。
それらがエコーチェンバーで反響拡大し、正義の絨毯爆撃が…という妄想。

話を戻す。
俺は法学部を出たくせにあまり法律とか制度と言うものを信用していなくて、むしろ技術とかイノベーションというものを信奉している。こう言った社会的な問題意識とテクノロジーが幸福な結婚をしたらインターネットはもっと楽しくて安全なものになるのかもな、と仄かな期待を抱いた。

hReview by tomozo , 2005/10/24

photo
インターネットは民主主義の敵か
Cass Sunstein 石川 幸憲
毎日新聞社 2003-11
ところで、真面目な論評を読みたい方はこちらがよろしいかと思います。
インターネットは民主主義の敵か(原題:Republic.com) - takahata_kazuoの日記 コメントを見る
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