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book

ロボット技術者になるには

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ロボット技術者になるには
越川 彰彦
ぺりかん社 2006-04
評価

by G-Tools , 2006/06/02

何気なく手にした一冊。

これは将来どんな仕事をしたいか悩める中高生のための指南書「ナルニアなるにはシリーズ」の一冊だが、ロボットに興味がある人には素で面白い本だ。ちなみに、本書で指し示すところのロボットとは産業用ロボット以外のロボットだと思っていいだろう。

この本には以下の人物が登場し、ロボット技術者に至った道のりを語ってくれる。
  • 本田技研 重見聡史氏
  • セイコーエプソン 宮澤修氏
  • 消防研究所 天野久徳氏
  • 筑波大学 山海嘉之教授
  • fuRo所長 古田貴之氏
  • インダストリアルデザイナー 山中俊治氏
いやぁ、いずれもやはりロボット技術者になったのは偶然ではなく必然なのだなあ、と思わせる経歴でした。特に山海教授は凄いなあ、と。この人の話を読むたびにそう思うのだけど。それにしてもアニメの影響って凄いんだね、と再認識した。ただ、まだ産業として未確立ゆえ、職種としては研究職が殆どなのがちと残念。今後もっと裾野が広がり、改定される際にはより多くの職種が取り上げられるといいな、と思う。

ロボットに興味を持っている中高生にとっては良い指南書となると思う。

30過ぎの俺は駄目だけど。。orz

ザ・サーチ/グーグルが世界を変えた

ザ・サーチ グーグルが世界を変えたザ・サーチ グーグルが世界を変えた
ジョン・バッテル 中谷 和男

日経BP社 2005-11-17
売り上げランキング : 1537

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今を時めくGoogleのその成り立ちから株式公開、そしてビッグブラザーとして恐れられる程に成長するまでを、創業者二人サーゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏やCEOエリック・シュミット氏へのインタビューを交えながら生き生きと描く。筆者(ジョン・バッテル)自身がネットビジネスの経験者だけに、その視点は鋭い。

外国から眺めているとGoogleはその天才的な技術によってなんら躓く事無く順調にIPOにまで辿り着いた様に見えたが、その過程には様々な苦労があった事が分かる。リスティング広告を開始するまで、即ちWeb上での金鉱を掘り当てるまでの描写はスリリングだ。
また、グーグルが順調にビジネスを拡大する上で優秀な人材を集め、それらをマネジメントしていく上の試行錯誤も興味深い。特に、有名な社是である"邪悪にならない(Don't be evil)"が決まる下りは面白い。

実は心に残ったのはグーグルそのものよりidea lab(アイデアラボ)のビル・グロス(Bill Gross)の話。Goto.comのちのOvertureで、Googleになりえた男の話はひどく心に残った。

昨今ではGoogle脅威論も高まっているが、この後、続編がどの様に描かれるか興味深い。

関連エントリー

検索エンジン戦争

戦争民営化

4396110189戦争民営化―10兆円ビジネスの全貌
松本 利秋
祥伝社 2005-08

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これまた看板に偽りありだなあ。

この本は、イラクでの日本人殺害で衝撃を与えた、民間軍事会社(Private Military Company, PMC)について書かれている。。。。と思いきや第2章から第4章までは活き活きとしたタッチで描かれる古代から現在に至る"傭兵""戦争屋"について書かれている。それはそれで面白いのだけど、俺が本当に読みたいのは第5章に書かれている"現代の民間軍事企業"。

非常に興味深い内容なのだが、いかんせん頁が少なすぎて消化不良だ。ただ、そこに書かれているハリバートンとその子会社Kellogg Brown & Root(KBR)の業務の件及び政権との関係、10兆円産業とも言われるPMC、或いは兵器産業の構造について等については蒙が啓かれる思いだった。

是非、再度この部分についてより詳細な著作を期待したい。

と言うか、これを読めばいいのか?
戦争請負会社戦争請負会社
P.W. シンガー Peter Warren Singer 山崎 淳

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参考サイト

民間軍事会社 - Wikipedia

ニートって言うな

4334033377「ニート」って言うな!
本田 由紀 内藤 朝雄 後藤 和智
光文社 2006-01-17

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昨今巷に溢れる"ニート"と言う言葉。発祥の地イギリスとは異なる定義、異なる使われ方をしているこの言葉について本田由紀氏、内藤朝雄氏、後藤和智氏の三者がそれぞれの視点から疑問を投げかける。 最近光文社新書にはガッカリさせられっぱなしだが、本書はなかなか良かった。

そういえば、前世紀に俺も半年ほどニート生活をしていた。当時と今では状況はまるで異なるが、その頃のことを思い出しながら読んだ。

第1部 「現実」―「ニート」論という奇妙な幻影

統計データから、急増したというニート数が実はあまり変化がないことを示す。同時に、"ニート問題"は、個人の内面の問題ではなく就労問題であることを指摘。この辺は俺自身の経験も踏まえ、正論といえる。 引っかかったのは最後の教育のところ。外国の職業教育が取り上げられているが、それらの国も若者の失業率は高かったはず。実効性という面で疑問符が付くと思った。
本田由紀氏のサイト
もじれの日々

第2部 「構造」―社会の憎悪のメカニズム

マッチポンプ的な報道から醸成される若者批判、そこから派生する誤った対策について。主旨には大いに賛成するが、突如として「人権派」が飛び出ることに違和感を感じた。批判するのは構わないが、具体的な定義も対象も不明確でそれこそ「ニート」と同じように使用していないか?
内藤朝雄氏のサイト
内藤朝雄

第3部 「言説」―「ニート」論を検証する

今も昔も続く「若者批判」を真っ正面から批判。若者らしい歯切れの良さが良いと思った。ただ、「下流社会」への批判は手ぬるいと感じた。
後藤和智氏のサイト
新・後藤和智事務所 〜若者報道から見た日本〜

産業構造が大きく変わり、フリーターや派遣社員、契約社員等の非正規雇用が増えているのにもかかわらず、未だに「正社員幻想」のようなものを抱いている人が多いのだろうか。政策や提言等も「正社員」「正規雇用」を前提にしているように思える。

これからはパート・アルバイト・派遣契約社員等の非正規雇用者が多数である現実に即し、雇用就労対策を行うべきではないのだろうか。

他人を見下す若者たち

4061498274他人を見下す若者たち
速水 敏彦
講談社 2006-02

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生焼けのステーキを食べ終えたような読後感を味わえる良書。是非皆さんにもこの"もやっと"感を味わってもらいたい。

まず、最初に読むべきは後書きです。

この仮説と言うよりは一種の私自身の思い込みを、心理学と言う土俵の上で縦糸と横糸として織り込んで、できるだけ誰もが納得のいく形にして人間理解に繋げたいと言うのが本書を書くきっかけである。
ここで示した見方は、まだ心理学界で十分に認められたものとは言えない。実証的研究は二、三年前から私の研究室のグループが始めたばかりである。
これは謙遜でも冗談でもなく、事実である。以前読んだ『下流社会』と同じ、あとでネタ晴らし。仮説でも思い込みでも構わないけどそういうことは前文で明示的に宣言してもらいたい。

内容(「MARC」データベースより)
やる気がなく、謝まらず、他人を軽視し、すぐキレる若者たち。そして、根拠のない有能感に浸る若者が増えている−。教育心理学の研究データが示す新しい日本人像を紹介しつつ、その変化の最も根源的な要因を追究する。
まず、この前提がおかしくないだろうか?確かに新聞・メディアは「暴走する若者」が氾濫しているが……これは実態をそのまま表しているわけではない。

こちらのサイトを見ていただきたい。

反社会学講座 第2回 キレやすいのは誰だ コメントを見る
これはもう、一目瞭然。おおまかにいって、昭和40年代を境に、少年の凶悪度には著しい差があります。それに昭和50年代以降、統計上問題になるほどの目立った変化はありません。たった一、二件の残虐な殺人事件を、マスコミが大袈裟に騒ぎ立てることで、いかに大衆に誤ったイメージを植えつけることが可能か。情報操作の恐ろしさを、まざまざと見せつけられます。
若者たちは凶暴化しているわけではなく、寧ろ年々おとなしくなっていることが分かる。ちなみに、それを裏付けるデータも文中にある。

前提に誤りがある事から、筆者の主張に重大な瑕疵があると言うことが言えるだろう。
と言うか、世間知らずで傲慢なのはいつの時代の若者にも共通しているんじゃないかなあ、と思う。振り返れば、昭和初期なんかもテロルやクーデターなんかも頻発してるし。

速水氏を弁護するとすれば、速水氏は若者特有の問題ではないのでは?と言う疑義を所々に出している。検証していないけど。 にもかかわらず、このタイトル、この内容となったのはきっと出版社の意向ではないだろうか。ほら、若者叩きっていい商売のようですから。邪推ですが。

殆どは読むに耐えない内容だが、第6章だけは興味深かった。
観察者や視聴者は誰もが解説者のような気分になり、上から見下ろしているような錯覚に陥る。原因帰属の研究で、行為者より観察者は、行為者の行動の原因を行為者自身の要因に帰しやすい、と言う知見があるが、観察者になる機会が多いと、実は自分の事を見つめようとせず、代わりに直接知らない他者の表面的な欠点などが、多いに気になるようになる。(p.142)
これなど、インターネットを見て回ると良くある光景のように思える。ただ、こういった観察者は別に若者に限ったことじゃないよな、と思う。

まあ、それなりに売れているらしいし、書店で平積みにされているのもよく見る。しみじみ思うのは、見出しの勝利、ってことでしょうか。

「みんなの意見」は案外正しい(Wisdom of Crowds)

「みんなの意見」は案外正しい「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー

角川書店 2006-01-31
売り上げランキング :

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俺は"集合知"と言うものに対して極めて懐疑的故に眉に唾をつけて読んだ。結論から言うと、この本は俺の懐疑を補強してくれる内容であった。

本書において、様々な"集団"が如何に間違えるか、の事例が豊富に載っている。それに対して、集団が"正しく"判断するには以下の要素が欠かせないと主張している。

  1. 多様性(各人が独自の私的情報を多少なりとも持っている)
  2. 独立性(他者の考えに左右されない)
  3. 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)

上記の条件を満たす"集団"ってどこに存在するのでしょうか?

本書では様々な社会学的"実験"を例に挙げていますが、実際の社会において多様で、独立していて、分散している集団なんてどこにも存在しないのでは?

"予測市場"が事例に上がっており、実際に選挙予測では世論調査よりも精度は高かった記憶がある。
だが、株式市場の"バブル"を例に挙げるまでもなく、市場はしばしば暴走する。これは市場に参加する人たちが、"多様"かもしれないが"独立"していないせいではないだろうか?

現在は、インターネット等の技術を利用し、個人が容易く"繋がる"事が出来る時代だ。この複雑系であるところの社会において、"独立性"なんてあり得ないのじゃないだろうか。

また、情報は増えたが一人の人間が処理することの可能な情報はやはり限られている。自ずと情報源というのは限られており、本書で言うところの"情報カスケード"や"集団極性化"を引き起こしがちな状況になってはいないだろうか。キャス・サンスティーン教授が『インターネットは民主主義の敵か』に於いて指摘した様に。

そんなわけで、読後、"みんなの意見は案外正しい"けど"みんな"というのは"空想上の生き物"なんだ、と言うのが俺の感想。

Passion For The Future: 「みんなの意見」は案外正しい コメントを見る
群集がいつも賢いとは限らない 「Wisdom of Crowds」の成立条件 - Zopeジャンキー日記 コメントを見る
H-Yamaguchi.net: The Wisdom of Crowds: Why the Many Are Smarter Than the Few and How Collective Wisdom Shapes Business,Economies, Societies and Nations コメントを見る
The Wisdom of Crowds (みんなの意見は案外正しい) : tokuriki.com コメントを見る
[を] 「みんなの意見」は案外正しかった! コメントを見る

関連エントリー

インターネットは民主主義の敵か

デカルトの密室

デカルトの密室デカルトの密室
瀬名 秀明

新潮社 2005-08-30
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おすすめ平均

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知性とは何か?意識とは何か?

と言うわけで、瀬名秀明氏によるロボットをテーマにした著作3作目を読み終えた。AmazonやBK1のレビューを読む限り、「難解」と言うのがこの本の一般的な評のようだ。アラン・チューリング、チューリングテスト、フレーム問題、不気味の谷等と言う言葉を理解できないと、作中に入っていくのは難しいかもしれない。もちろん作中で説明はなされているが、それだけで理解できるものではないだろうし。

現代のロボット開発における諸問題についてある程度理解していれば、本書のテーマや内容はさほど難しいものではないと思う。逆に言えば、それらを説明するのにチューリングやデカルトが用いられているともいえるのかな。

主人公が作家、そして作品中において物語ると言う行為が挿入されている構造は、「八月の博物館」を彷彿とさせる。瀬名氏はこの手法がお気に入りなのかしらん。

作中、iBotSETI@home等のテクノロジーが頻繁に出てくるのはニヤリとさせられた。その延長で「ケンイチ」にも妙なリアリティを感じた。ちなみに、勝手に映画"ヒノキオ"に出てくるロボットをイメージしたのだけど、実際はどうだろう?
俺としては興味深い内容だったし、面白いと思った。ただ、最後の対決の場面はあまりにも唐突な感じがした。

なお、本作の前のエピソードは、e-novelsで購入可能。

メンツェルのチェスプレイヤー
そして、瀬名氏のブログによると、「ケンイチくんシリーズ」の三作目が6月に刊行されるそうだ。
瀬名NEWS: ケンイチくんシリーズ最新作
ゲラ到着。
順調にいけば、6月下旬刊行。

蛇足だけど、追記部分に参考になるものを挙げておく。ちなみに俺も全部読んでるわけじゃないよ。

【追記】

こんなページがありました。さすが瀬名氏。(追記部分の参考文献は削除しました)

参考サイト 新潮社 - デカルトの密室

企画展示室『デカルトの密室』-瀬名秀明の博物館

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タイムマシンをつくろう

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タイムマシンをつくろう!
P.C.W. デイヴィス 林 一
草思社 2003-06-18
評価

by G-Tools , 2006/07/03

面白かった。そして難しかった。

amazon.co.jpのレビューを抜粋。

本書の前半で著者は、アインシュタインの特殊相対性理論や一般相対性理論、カール・シュヴァルツシルトのブラックホールに対する見解、ホーキングの理論など、物理学の巨人たちのさまざまな理論を検証しながら「タイムトラベル」に関する自らの見解と課題となる点を述べている。決して易しくはないが、読者の知的好奇心を大いに刺激してくれる論考である。

この本で作れるとしているタイムマシンは、引き出しを開けると未来に繋がっていたり、H・G・ ウェルズが描いたような特殊な機械ではない。光と重力の関係に注目し、時空をねじ曲げる"ワームホール"を利用する。 と言うわけで、一般相対性理論や特殊相対性理論、ブラックホールやワームホールと言う言葉が飛び交うので、それらの用語にアレルギーがある人は要注意。だが、そこさえ乗り越えれば、かなり面白い思考実験と言えないだろうか。

俺は読んでてちょっと頭痛がした。

興味深いのは第四章。"タイムマシンに関するQ&A"
何故、タイムマシンの製作が可能ならば、未来からのトラベラーが現れないのか?とか、過去に遡って母親を殺してしまったら?と言う古典的なタイムパラドクスについて書かれている。ここで取り上げられているホーキンスの仮説は興味深い。

実際のところ、第三章で述べられている方法でタイムマシンが製作されるのはまだ何世紀も先の話だと思われる。

だとしても刺激的な話には違いない。

食べるな危険!! ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する

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食べるな危険!!ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する
モーガン・スパーロック 伊藤 真
角川書店 2005-07-01
評価

by G-Tools , 2006/07/03

映画、『スーパーサイズ・ミー』の監督モーガン・スパーロック氏による、「ファストフード」告発本。彼が何故あの映画を撮ったのか、そしてアメリカの食生活の現状、食品業界の現状等が(彼の視点で)綴られています。 彼の主張は、アメリカの肥満はタバコ並みに危険なもので、そして食品業界はタバコ業界並みの欺瞞に満ちたマーケティングで消費者を欺いている、と言うこと。

ちなみに俺はまだ映画見ていません。

確かにアメリカの肥満はその危険が叫ばれてからも一向に改善される気配はないし、相変わらずダイエット業界は成長産業だし。
彼が特に非難しているのは、ファストフード業界が特に貧しい人を標的にしていること。金のない学校は援助と引き替えに、食堂にかわってファストフードやコーラやペプシの自販機を設置したりといった事例が、それに対する改善例と共に載っている。

その他、BSEを含む食品の安全性についても述べられているが、この本の通りだとするとお寒い限り。農業省はアグリビジネス・食品企業の代理人として振る舞っており、消費者の安全より企業の収益を優先するという。NewsWeek等の報道を見ていても、特に改善されたキザシもなさそうだし。

あと、共感を覚えたのが「子供向けマーケティング」の項。日本でも、子供を標的にした玩具などのマーケティングが花盛りだけど、それは問題ないのか?と言う問題提起が行われている。俺自身、なんでも持っている姪っ子甥っ子を見るとちょっと複雑になる。

なお、この本は、主としてアメリカについて書かれたもので、ファストフードに関しても日本とは大きく状況が異なるため、日本にそのまま当てはめることはできない。

例えば、日本で同じように30日マクド生活を行い特に健康には問題なく過ごした人の事例もある。

30日間マクドナルド生活 コメントを見る
そういえば個人的な経験だが、大学生の時、昼飯にあんパン+ジュース/カロリーメイト+水、晩飯にテリヤキバーガーセットという生活を続けたら、1ヶ月でげっそり痩せた事がある。

大切なのは、ファストフードを食べないことではなく、栄養バランスの取れた食品を適宜にとることといえる。当たり前だ。

ちなみに俺はマクドは好きではないが、モスが好きである。

スーパーサイズ・ミー
スーパーサイズ・ミー

関連サイト

スーパーサイズ・ミー - Wikipedia
ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 - 30日間朝昼晩三食すべてマクドナルドで食べる
スーパーサイズミーブログ

ブログのもと―継続は成功への第一歩

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ブログのもと―継続は成功への第一歩
永沢 和義
毎日コミュニケーションズ 2005-12
評価

by G-Tools , 2006/07/03

BlogPeopleの中の人、モダシンさんことModern Syntaxの永沢氏の手によるブログの解説書。解説書と言うのちょっと違うか、、、むしろ指南書と言った趣。モダシンさん自身による本書の紹介はこちら。

Modern Syntax : ブログのもと〜継続は成功への第一歩

ブログをはじめる、はじめたい人向けのアドバイスから、はじめたけど続かない人、何を書いたらいいか分からない人向けのアドバイスが満載で、俺としてはブログをはじめたが上手く廻らない人向けの書籍ではないかな、と思った。Pingの使い方、トラックバックの使い方、BlogPeopleの使い方等、技術的なハウツーではなく、より実際的に書かれているのでブログをはじめたばかりの人にはとてもいい指南書なんじゃないかな、と思う。特に、更新PINGは活用していない人も多そうなので参考になるのではないだろうか。あと、最後にあるブックマークレットの件は知らない事が多くて非常に為になった。

個人的にツボだったのは、ネタが無い時はネタが無い事をネタにする、と言う部分と泥酔ブログに関して。ここは、Modern Syntaxをずっと読んでいる人にはニヤリとさせられたのではないだろうか。

ウェブログのアイデア!ープロのライター&編集者が教える、ネタの集め方・読ませ方・見せ方のテクニック ブログがブームになって以来ブログ本は書店の一角を占めるぐらいでているけど、ブログをはじめたい、はじめたけど迷走中と言う人は、この本と、『ウェブログのアイデア』を手に取ってみると良いんじゃないかな、と思う。

あと、ブログの方では没原稿の公開などもありますので、併せてどうぞ。

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

stars さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

昨年のベストセラーを、今年になってから読みました。はっはっは。
小説には「ライトノベル」と呼ばれる一群があるが、本書は「ライト新書」と言うべき読み物。およそ2時間もあれば読み終わるのではないだろうか?
会計学の入門書で躓く人の為に書かれた、と言うだけあって、内容は平易。表題にあるように、さおだけ屋等の、どうして儲かっているの?何故つぶれないの? と言うお店について分かりやすい言葉で解説している。会計学に興味がある人でなくとも、面白く読めるんじゃないだろうか?

中高生ぐらいの人が読むと社会とか経済とかに興味を持つきっかけになるんじゃないかなぁ、と思った。
こんなさおだけ屋に騙されない為にも。

ZAKZAK - さおだけ悪徳業者“198”で誘い1万9800円 コメントを見る

hReview by tomozo , 2006/01/15

禁煙ファシズムと戦う

stars 禁煙ファシズムと戦う

最初に断っておくと、俺は喫煙者。マルボロを一日一箱ほど吸う。
ただし、灰皿のないところでは吸おうと思わないし、煙草が苦手な人の前で吸うような人でなしな事はしない。自分の吐いた煙でさえ、自分にかかれば煙い。ましてや吸わない人なら、と言うぐらいの想像力とマナーはわきまえている。
だから、健康増進法と云う正体不明な法律によって街中から灰皿が撤去されている現状はどうにも納得がいっていない。税金ばかり取って酷い仕打ちだと思う。更に言えば、煙草を販売しながら喫煙コーナーすらない大型店舗もある。俺は高速を良く利用するのだが、サービスエリアで休憩しようとすると灰皿は屋外にしかなく、しかも屋根すらまともになかったりする。雨の日や冬の寒い日など、かじかみながら一服しなければならない。
で、本書の内容と云えば、まず企画者の小谷野 敦氏の檄文があり、その後過去に発表された斉藤氏と栗原氏のレポートが続く。小谷野氏は自身のウェブログそのまんまの調子で、知っているものはついニヤリとするだろうが、どうにも小物に絡み過ぎる嫌いがあり、それが読者には不評なようだ。もし、これが啓蒙を意図するのなら、失敗していると云えるだろう。
斉藤氏のレポートは、淡々と禁煙運動が如何に変質したか、そしてそれがファシズムと相似しているかを描き出している。淡々としているだけに、説得力がある。

受動喫煙の実際の害については俺は検証できていないので保留する。しかし、合法的な嗜好品である限り、嫌煙者と喫煙者、双方について配慮されるべきではなかろうか。
確かに、喫煙者の俺から見ても明らかにひどい喫煙者は多い。と言うかかなり目に付く。嫌煙者の感情的な反発も理解できるが、何とか共存できんもんかな、と思う。

hReview by tomozo , 2006/01/06

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禁煙ファシズムと戦う (ベスト新書)
小谷野 敦
ベストセラーズ 2005-09

参考リンク

松浦晋也のL/D: 「禁煙ファシズムと戦う」を読む コメントを見る
メディアリテラシーの練習問題 ; 室井尚の奇妙な反・嫌煙運動プロパガンダ論/Muroi's Wierd Pro-Smoking argument コメントを見る
短信: ロンボルグ本とタバコ コメントを見る
俺にからめよ山形浩生 - 猫を償うに猫をもってせよ コメントを見る
なんで9月30日の日付で室井尚にからむんだ山形浩生。俺にからめよ俺に。それともあれか、俺には勝てないとか、ネットしか見ないネットバカを洗脳しようとか、そういう意図か。(それともコピペするのは楽だが本から引用するのは面倒だとでも?)
この名文は、後にテンプレと化す。

ペンギンの国のクジャク

stars ちょっと物足りない

出版社の紹介を引用

あなたは会社で認められていますか? 組織と個人を生き返らせるビジネス寓話!!
全米ビジネス書ベストセラーついに日本上陸!!
IBMをはじめ世界中の企業が研修に採用!
とある様に、若い社会人向けかな?研修用にはいいけど、既に実社会で働いている人には物足りない内容だろう。と言うか、実は当初、アングロサクソン即ちアメリカにグローバルスタンダードを押し付けられているアジアの島国の寓話かと思ってしまった(笑)。俺自身、ペンギンの国の様な組織で仕事をしていて常に苛立ちを覚えているのも事実。ただ、人の世の常として、「正しい事を正しい」と言うだけでは何も変らないだろう。その為にはやはりこの本に書いてある様に、ある程度の戦略的なアプローチが必要になる。ただ、やみくもに新しいものが変化が素晴らしいと盲目的に信じるのも危険だよ、と言う事だけは指摘しておかないとね、と思う。

hReview by tomozo , 2005/12/31

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ペンギンの国のクジャク
BJ Gallagher Warren H. Schmidt 田中 一江
扶桑社 2002-03

下流社会

stars お金を払ってまで読む価値はない

各所で話題になっているので手に取った書籍。結論から言えば、まともに評論するに値しない書籍といえる。データをちりばめて、一見社会学風に装っているものの、実際のところ筆者の印象を書き連ねたエッセイに過ぎない。
まず、本文中取り上げられているデータが、統計学的有意性を欠いている事。こともあろうか、それについて言及しているのがあとがきというお粗末。もし、読者に対して誠実であろうとするならば前段に明記すべき事項だろう。

また、その調査範囲もせいぜいが東京近郊までであり、それ以外の地域は別世界扱いである。これを以て「日本」について語るのは極めて暴論としか言い様がない。もちろん、それについて特に言及もない。
それ以上にこの本が腹立たしいのは、若者、特に筆者が「下流」と見做す若者に対する印象操作が甚だしい事だ。

筆者風に指摘するならば、

それにしても、マンション住まいで子供を私立学校に行かせるような三浦が下流について書くこと自体皮肉としか言いようがない。
と言うか、本来の意図は下流と見做す若者を貶す為に書いたのでは?と邪推されても仕方ないだろう。 Amazon.co.jpのレビューを読んでも、多くの人が疑問を投げ掛けている内容だ。

にしては、メディアに取り上げられているのは何故か?と言う疑問が付いて廻るのだが、きっと恐らくこの本をことさら取り上げるような人は東京視点でしか物事を捉えられない「東京脳」の持ち主か、まともな読解力がないか、下流と見做す若者を貶したいか、のいずれかと思う。
取りあえず、お金を払ってまで読む価値はない、と言うのが俺の結論。

最後に、俺がもっとも的確だ、と思う書評をリンクしておく。
三浦展、『下流社会』 - Words and Phrases コメントを見る

hReview by tomozo , 2005/12/18

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下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展
光文社 2005-09-20

ブログマガジン vol.1

ブログマガジン Vol.1 (1) □ブログマガジン Vol.01 : コアマガジンWeb

先日発売された"ブログマガジンvol.1"。事前に"「俺」のターン"で知ったせいではないのですが、表紙を見て「キワモノ」イメージを持っていました。近くのコンビニ・書店に中々置いてなく、先日ようやく読むことが出来たのですが・・・これがなんとしっかりした内容だったりする!

もちろんアフィリエイトウハウハ系等の記事もありますが、揉め事やトラブル関係などもきっちり抑えてあり、ちゃんとブログを知っている人が編集に携わってるんだろうな、と思わせます。
ネタフルコグレさんも同様の印象を抱いたようです。

[N] 「ブログマガジン」購入
「なぜかTシャツまでつくった」とか「まめにデータものを拾っていたりして、意外にビジネスでも役に立つことがある」とか、けっこうきちんと読まれているみたいで、このレビュアーはネタフル読者に間違いない!
書店で買うのが恥ずかしいという人は、amazon.co.jp等でも購入可能なので、是非そちらからどうぞ(笑)

なお、コアマガジン社は成人向け雑誌とは別に一般向けの雑誌書籍用のドメインを取得しており、そちらでブログを展開しています。

Blogmagazine

注目すべきは次の企画です。

ここにトラバを打つと優先的に載るキャンペーン
こちらにトラックバック(内容問わず)を打ってもらった人を優先的に掲載してみようじゃないかと。ただし、明らかな営業サイトと、個人が非営利で行っているもの以外のアダルトは除きます。どういうトラックバックがくるのかも気になるし。エントリは自由なので、自分のブログを雑誌に載せてみたい、という方はよろしくお願いします。
どうやら掲載されると賞金も出るようだし、ネトランやimpressの「みんなのブログ」には載る事が一生ないと思われるご同輩!是非トラックバックを打ってみませんか?

ネタフルさんだけに美味しい思いはさせない!(笑)

ビーイング・デジタル

stars ビーイング・デジタル

元々は1995年に出版された本の2001年に再販されたもの。即ち10年前の本なのだが・・・・その多くが未だに通用する内容である事に驚かされる。
ニコラス・ネグロポンテ教授といえば最近では100ドルラップトップで話題を攫っているが、かつては来るべきデジタル時代の予言者の様な役割を果たしていた。WIred誌日本語版に掲載されていたコラムを読んでは胸をときめかしたものだ。

当時からして、「楽観的過ぎる」と言う批判はあった。しかし、あとがきに見られるようデジタル社会における悪影響についても正確に予測している事が読み取れる。それを敢えて楽観的に説いていたのが本書だろう。
刊行されてから10年が過ぎ、実現された技術未だ実用化されていない技術(VOD、ロボット等)があり、全てが本書の通りに進んだわけではない。しかし、ドッグ・イヤーと称される時代を振り返る際にそしてまた未来を考える際に良い参考書となるだろう。

hReview by tomozo , 2005/12/10

宇宙の歩き方

stars 宇宙の歩き方

いつかは宇宙("そら"と読む)へ。そう思う人は多いのではないだろうか。隔夕俺もその一人。とりあえず、ガイドブックを読むところから始めてみよう。と、言うわけで、ここ最近の宇宙関連の動きを見ていて気になっていた本をようやく読み終えた。
この本の要旨は、宇宙旅行は既に夢ではなく、(お金さえあれば)実現可能である、と言うこと。同時に最近の特に民間部門の取組をあげ誰もが宇宙へいける時代へとナビゲートしてくれる。

Amazon.co.jpでの紹介を引用

今度の休暇はちょっと宇宙へ。
宇宙旅行はもう夢じゃない!
どこまで行けるの?何ができるの?料金は?
本気で宇宙に遊びに行きたいあなたのために最新情報満載、
史上初の宇宙旅行ガイドブック!
航空機を使った無重力体験は割と多くのサービスが(比較的)低価格で実施されているし、また、実際のサブオービタル飛行、ISSへの滞在など、実際の費用と手続き、その経験について豊富な実例に基づき説明されている。名古屋でも無重力経験が提供されていると知らなかった。(→ダイアモンドエア サービス社)また、同時にX Prize財団によるコンテストや、宇宙船建造に取り組む多くの研究者、実業家の取組についても述べられている。 一見、SFのようなタイトルだが、最早宇宙がSFや国家に独占されたものではなく、いつか手が届く、そんな未来を垣間見せてくれる良書だった。実際旅行に行く際に役に立つ、服装や食事、持ち込み荷物等の豆知識も豊富で、宇宙に興味がある(普通の)人にお勧め。

hReview by tomozo , 2005/11/20

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宇宙の歩き方
林 公代
ランダムハウス講談社 2005-07-27

その他、参考になりそうなサイト。 JAXA(宇宙航空研究開発機構)のスタッフによるレビュー

宇宙の歩き方 | SPACE REVIEW MAGAZINE レビュー隊2nd コメントを見る
ITmediaニュース:“IT長者”が拓く宇宙旅行 コメントを見る
宇宙旅行ポータルサイト Space Future Japan(SF/J) コメントを見る
週刊アスキーに連載中の『仮想報道』より、宇宙旅行関連のカテゴリー。
歌田明弘の『地球村の事件簿』: 宇宙旅行 コメントを見る

拒否できない日本

stars 拒否できない日本

ZAKZAK : ナゼ読めない…「アマゾン」で1年超も品切れの本 コメントを見る
日本最大の書籍販売サイト『アマゾン・ドット・コム』で、ある本の品切れ状態が続いている。絶版本や希少本ではない。昨年4月に発売され、今年6月にも9刷となったロングセラーで、版元も大手の『文藝春秋』。ただ、郵政民営化を含めた小泉政権の規制緩和政策が、なぜ、“米国追従”なのかを種明かしする内容だけに、憶測が飛んでいる。
この記事を読んで興味を持った書籍。ようやく読むことが出来ました。内容を簡潔にまとめると、昨今日本で進んでいる『構造改革』とやらは決して自発的な自己改革ではなく、米国の要望に添って行われている。それは米国が主導とするアングロ・サクソン系によるグローバルスタンダードの押しつけであり、必ずしも日本国民のために行われることではない。米国は堂々と在日米大使館のサイトに掲載しているが、日本政府及びマスコミはその存在に触れることもない。
日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書 コメントを見る

当初は陰謀論かな、と言う予断を持って読み始めたのだが、なかなかしっかりした論考で考えさせられるものがある。アングロ・サクソンの思考を DNAに刻まれていると言い放ったり、感情的な面も散見されるが。また、これは米国民の総意と言うわけではないとおもうが、その辺やや乱暴な断定も見られる。

昔話になるが、俺が思春期の頃は『日本異質論者』(ジャパンリビジョニスト)なんてのが台頭していた頃であり、盛んにジャパン・バッシング(日本叩き)なんてのが行われていた。ちょうど今日本の嫌韓論者のように。それがクリントン政権中期の頃には日本のデフレ不況も相まって、ジャパン・パッシング (日本素通り)対中重視に転換した様な記憶がある。
で、本書はバッシングが無くなったわけでなく、それらがシステム化されたという主張な訳だ。

これが本当なら空恐ろしい事態なのだが、まだ検証が出来ていない。しかし、常に頭にとどめておこうとは思う。
そういえば、先の総選挙期間中にジャーナリストの立花隆氏がこんなコトを書いていた。
第38回 海外メディアが伝えた小泉・郵政解散劇の評判 - nikkeibp.jp - 立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」 コメントを見る
日本の戦後政治を支配してきた権力者たちは、権力中枢に近い人ほど、アメリカの意志が日本の政治を動かす陰の最大の動因となってきたことをよく知っている。

もう30年ほど前になるが(大平内閣の頃だったと記憶する)、あるとき、日本のトップ官僚の最右翼的立場にある人と、くだけた懇談をする場に居合わせたことがある。はじめその人は、私が「角栄研究」の筆者と知って警戒心をもって私に接していたが、座がかなりくだけてきたところで、いきなり、私に向き直って、「立花さん、あなたは、日本の政治(政策)を動かしているパワーの中で最大のものは何だと思いますか?」

と正面きった質問をぶつけてきた。私は自民党の大派閥のボスたち、財界、圧力団体、イデオロギー的指導者、大マスコミなど、一般にその問いに対する答えと考えられているものをいろいろならべたが、彼はニコニコしながら、その答えのすべてに頭をふり、その後で、スパッと、

「アメリカの意志ですよ」

といった。

「いかに政治力があろうと、アメリカの意志に反することをする可能性がある政治家は、絶対に総理大臣になれません」

といって、その実例を説得力ある形であげてみせた。そして、日本の政治・経済・外交政策が一貫していかにアメリカの意志に従う形で展開されてきたかを例証してみせた。その後ずーっとたってから(20年以上たってから)、ほとんど同じような話を、外務省トップエリート出身の有力政治家から聞かされた。
30年前も今も変わりはないのかもしれない。

余談だが、上記ZAKZAKの記事が載ったとたん、Amazon.co.jpでは通常通り購入が可能となった。今は不思議とBK1で購入できない。また、Googleで『年次要望書』で検索すると、上記米国大使館のサイトがトップでヒットするというのは皮肉と言うしかない。

hReview by tomozo , 2005/11/06

バカの壁

stars 買わなくて良かった

率直な感想。買わなくて良かった。
これで終わっては何だかな、なので、もう少し。

とりあえず、指摘しておくべきことは事実誤認の多さ。ホームレスが働かずに食べれると本気で思っているらしい。人には身体性に基づくほか個性はないらしい。わざわざ、壁に大便で絵を描く精神病患者を例に出してそんなことを言う。
もうバカかと。ブログで展開される素人社会学と同レベル。

と最初は思っていましたが、読み進めるうちに得心しました。ああ、これはネタなんだな、と。わざとバカっぽいところを見せて読み手を惹きつける手法なんじゃなかろうか、と。口述筆記らしいし。或いは挑発とか。Amazon.co.jpやBK1なんかの書評を見ると酷評が多い中、賛意もちらほら。
まあ、専門家が専門外のことを書くとろくでもないな、と言う一例として。

Exicite Booksで何故売れたかという検証をおこなっているが、まあ、見出しが良かったんじゃないの、と言うのが俺の感想。

「検証!バカ売れ『バカの壁』−売れたワケをぜひとも知りたい」 ニュースな本棚|Excite エキサイト : ブックス コメントを見る
売れたものが良いものでない好例ではないかな。 ほんと、買わなくて良かった。

hReview by tomozo , 2008/06/03

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超バカの壁 (新潮新書 (149))
養老 孟司
新潮社 2006-01-14

インターネットは民主主義の敵か

stars インターネットは民主主義の敵か

結構挑発的な書名だけど、原題は"Republic.com"。日本語風にすれば"共和国(or制)ドットコム"。
ちなみに、興味を持ったきっかけは週刊アスキーの連載『地球村の事件簿』。

歌田明弘の『地球村の事件簿』: はてなダイアリーがテロを撲滅する? コメントを見る
このようなことが書かれていた。
インターネットは、過激な思想やニッチな欲望を共有し理解し、それを育む。では、インターネットは危険な道具なのか。
 いやいや「リンク」というのはそうした思想や欲望の雪だるま現象を防ぐ働きもするはずだ、と言っているアメリカの憲法学者がいる。
 どうすればいいのかというと、強制的に、対立する考えのサイトにリンクを張るルールにすればいい、というのだ。もっと効果的な方法は、党派的なサイトを見ていたら、反対の考えのサイトに無理やり飛ばすなり、ページが開くようにすればいい。
 キャス・サンスティーンという憲法学者の『インターネットは民主主義の敵か』は、まじめで堅い本なんだけど、こうした指摘をしていて、これには思わず笑ってしまった。冗談でも何でもなく、まじめにこうした唖然とするようなことを書くとは、なかなかスゴイ学者だ。
とりあえず、乱暴に要約すると、情報技術の進歩によって"フィルタリング"技術が向上し、人々は"自分好みの"情報だけを得ることが出来るようになる未来。ニコラス・ネグロポンテ教授が"Daily me"(デイリー・ミー)と名付け、ビル・ゲイツが自著でその実現を予言したもの。 かつて、輝かしい未来と思われた"パーソナリゼーション"が、民主主義にとって危険だと著者は説く。同じような意見、考えのばかりが集まってそれが増幅され先鋭化していく。"エコー・チェンバー"で響きあう"サウンドバイト"が人々を分断し、、サイバーカスケード現象を起こす。

ちなみに、"エコー・チェンバー"とは磁気の録音、再生による複数の遅延音発生器。テープ・エコー(All About【DTM・デジタルレコーディング用語辞典】 最新キーワード300)のことで、サウンドバイトとは ((ニュース番組などで抜粋引用される政治家などのコメントの一部分))(goo辞書)
先の総選挙の時に、色々なブログを見て回ったが、同様の感想を抱いた。極論とも思える意見に対し、賛意を示すコメントが複数付いており、正直寒気を覚えた。ブログのコメント欄はともかく、2チャンネルに代表されるような掲示板などでは更に"場の圧力""同調圧力"(="空気嫁")が強く作用するだろう。嫌なら出て行けばいいのに、と言う言葉とともに。

もっとも、はてなブックマークには冷静な意見がコメントされていたわけだが。
そういえば遥か大昔、Yahoo!の検索結果にLycosやInfoseekへのリンクがあった時代があったけ。牧歌的なインターネットの黎明期。あの頃のインターネットは希望に満ちあふれていたよなあ。

筆者はサイバーカスケード対策として"反対意見への強制リンク"を提唱していて、それが歌田氏に"はてなダイアリー"を想起させたというわけだが。あながち的はずれではないような気がする。色々ブログを見て回っているが、俺が見ている範囲で"はてな"程様々な議論が広げられている所は無い。ユーザー層の偏りは感じるけども。
ここから本の話とは離れるが、最近は"パクリ"やら"DQN"関連でブログが炎上したり社会問題になる事例が多いと思う。ネットには現実社会のようなしがらみや体裁を気にしなくても良い分、やたらと"正義"を振りかざす人が多いような感じがする。

現実社会においては「それは正論だけど色々事情が・・・・」で濁されることが、ネットでは"パクリだ!""犯罪だ"と糾弾されるような気が。いわば、子供の正義が大手をふるってまかり通る世界というか。
それらがエコーチェンバーで反響拡大し、正義の絨毯爆撃が…という妄想。

話を戻す。
俺は法学部を出たくせにあまり法律とか制度と言うものを信用していなくて、むしろ技術とかイノベーションというものを信奉している。こう言った社会的な問題意識とテクノロジーが幸福な結婚をしたらインターネットはもっと楽しくて安全なものになるのかもな、と仄かな期待を抱いた。

hReview by tomozo , 2005/10/24

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インターネットは民主主義の敵か
Cass Sunstein 石川 幸憲
毎日新聞社 2003-11
ところで、真面目な論評を読みたい方はこちらがよろしいかと思います。
インターネットは民主主義の敵か(原題:Republic.com) - takahata_kazuoの日記 コメントを見る

検索エンジン戦争

stars 検索エンジン戦争

教え方の上手な講師が語りかけるように"検索エンジン"の歴史について教えてくれるような本。教え方の上手な講師が語りかけるように"検索エンジン"の歴史について教えてくれるような本。どのような口調かと言えば、Internet Watchの"そこが知りたい!検索エンジンの裏側"を読むと分かるでしょう。
検索エンジン戦争と言っても、技術的な内容よりも経済的な側面、例えばSEOやリスティング広告やコンテンツマッチ広告、文化的な影響について書かれている部分が多いかな、と言う感じ。

第一章では、検索SPAMが横行した黎明期、第二章では、Googleの台頭とovertureによるリスティング広告、第三章では、"パックス・グーグル"、第四章ではYahoo!の逆襲とマイクロソフトの参戦が、第五章では、より商業的な検索について、例えばA9.comなんかについて書かれている。
個人的には"グーグル・キラー"と呼ばれた第三世代検索エンジンやAsk.jpについてもっと書いて欲しかったなあ、と。

ただ、現在の3大勢力を中心に上手くまとまっており、読み物としても面白いので、検索エンジンの歴史について知りたいという人には最適じゃないだろうか。リアルタイムで眺めてきた人もおさらいに良いのでは。
先日、遂にYahoo!がこれまで培ってきたディレクトリよりもロボット検索を優先させるなど、相変わらず検索エンジンを巡る動きは激しい。ネットの連載と併せて読んでみては如何だろうか。

hReview by tomozo , 2005/10/11

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検索エンジン戦争
ジェフ・ルート
アスペクト 2005-07-26

ロボットの研究者は現代のからくり師か?

stars ロボットの研究者は現代のからくり師か?

baby_touchさんのRobot.Mとの優雅な平日:ロボットニュース【『機能』と『効用』,『純粋工学』であるロボット工学,そして『舞台とシナリオ』】を読んで興味を持った本
筆者、梅谷陽二先生はこう述べる。享保の改革のおり、新たな技術開発が禁止されたが、見せ物小屋等は例外とされた為、実学としてではなく、見せ物小屋や山車などの娯楽としての"からくり"のみが発達したと言う。
で、現代のロボット工学者も同様ではないか、と言う問題提起。つまり、産業との乖離を問題視し、ドリーム志向を肯定した上で、如何に実学へ結びつけるか、と言う提言なのですね。
俺としては、第4章の"技術経営"(MOT)と言う考えが興味深かった。特に81Pの障壁の名称、魔の川、死の谷、ダーウィンの海と言う考え及び図4・2はなるほどと考えさせられた。

本書が書かれてから、万博が開催されて多くのロボットの実証実験が行われたり、また、wakamaruロボリアのように限定的ながらも一般発売されたロボットもある。が、本書で提起された問題をクリアしている製品は残念ながらiRobot社の"Roomba"以外には無いのではないだろうか。
個人的には、大学の研究者はドリーム志向でいいと思うし、逆に実学を志向するなら大学を出てベンチャーを設立すべきではないかなぁ、と。ただ、産業界や公共機関が、そのドリームを自らのニーズに合致するように誘導すべきではないかな、と思う。
例えば、ロボット工学同様にドリーム志向と思われる宇宙関係では、X-Prize財団による賞金1000万ドルのコンテストによって民間から多くの参加があったし、現在はNASAも軌道エレベーターのコンテストを行なっている。ロボット分野では、"DARPA Grand Challenge"なんてコンテストもあるし。
産総研やその他農業関係の研究所、厚生関係の研究機関等がこういうコンテストを企画すれば、多くのドリーム志向の研究者の興味と能力を惹きつける事が出来るのではないだろうか。

本とは関係ない事ばっかり書いてしまった(^_^ゞ
ちゃんとした書評を読みたい人は別の人のを読んで下さいね。

で、上記 baby_touchさんのエントリーで気になったフレーズ。

まあ現実問題,「いつまでも少年の心を持って夢を追っていたいんだ!」という男性と結婚したら苦労する,ということかしら.
言い得て妙だなぁ、と。俺の考えを述べると、夢見る少年は上手くすれば大化けするかもしれないから長い目で見てあげて欲しいな。夢を見る事を出来るのは才能でもあり、特権であるし。歴代の発明家も内助の功は大きかったと思うし。でも夢ばかり追っていて、夢の為に行動していないロクデナシはやっぱり駄目だと思うけど。

本書は技術書ではないため、ロボット工学者のみならぬ、一般の人にも興味深い内容が多いのではなかろうか。興味を持たれた方はご一読を。

hReview by tomozo , 2005/10/03

イノベーションへの解

イノベーションへの解ー利益ある成長に向けて 先日読んだ、そしてスーパーハッカー伊藤直也氏も刺激を受けたと言う、"イノベーションのジレンマ"の続編。前作が、優秀な経営者達が陥るジレンマに付いて述べられているのに対し、本作では如何にそのジレンマに対処するか、と言う理論とその適用について詳細に書かれている。

詳細過ぎて、読むのにちょっと疲れるが。

印象に残ったのは、属性に頼ったマーケティングは役に立たないと言う事。「クイック・サービス型レストランチェーンのミルクシェーク」を例にしているので非常に分かりやすい。これは俺が直感的に思っていた事なので非常に理解できた。

また、ソニーについて度々取り上げられているのが興味深い。ソニーが創業から1980年代まで何回も破壊的イノベーションを起こし、無消費に抗してきた事等は、ウォークマンを持ち出すまでも無く良く知られているが、その後90年代を通じてそのようなイノベーションを起こしていないと言う事実。これが結局現在のソニーの苦境をもたらしているのかな、と。

iPod vs ウォークマンを例に出すまでも無く。

余談だが、前作を読んだ時も感じたのだが、このジレンマをもっとも良く理解し、行動しているのはマイクロソフトと言うか、ビル・ゲイツではないだろうか?Netscapeとのブラウザ戦争、対AOL、Yahoo!のポータル戦争、対グーグルの検索戦争、対Palmの携帯OS戦争と、破壊的イノベーションへの対抗策が抜かりないと言うかなんと言うか。これは以前ビル・ゲイツの著作2冊を読んだ時にも感じた事なんだけど。

読むのはかなり疲れる事請け合いだが、変化の激しい昨今において非常に有益な著作である事は間違いない。

明日は誰のものか イノベーションの最終解 で、本日本屋へ行ったら、その続編が出てた!なんだって!

宇宙世紀の政治経済学

stars

筆者がアマゾンの順位を見ると胃が痛いヨ。とおっしゃっているのにも関わらず、BK1で買ってしまった。注文する前に言ってくれれば。。。
と言うわけで、ギレン総帥自ら"あえて言おう、名著であると"と宣う本書ですが、本当に面白かった!

最初に断っておくと、俺のガンダム歴は"一年戦争"→"逆襲のシャア"が基本で、Zガンダム及びガンダムZZは断片的な知識しかない。そして、"ポケットの中の戦争"はDVDで見たが、"スターダストメモリー"は映画版を見ただけ。Zガンダムは本放送の時は部活で見れず、最近もCSで放送されるのを録画失敗したりとどうにも見る事能わず。
内容はと言えば、ジオン公国の成り立ちや権力構造などを現代史になぞらえて俯瞰して見せる他、ザビ家の内実、ジオン驚異のメカニズムや、地球連邦の権力構造等、様々な事柄を様々な事象と対比させる事により浮かび上がらせる事に成功している。かつて流行った"謎本"の類いとは異なる、見事な現代史と言う側面にこそ注目して欲しい。

お堅い政治経済学の棚じゃなくて ガンダム本コーナー『the Origin』の横に置いてください!
って書いているけど(^_^ゞ
特に面白いのが、ギレンとJFK、チャーチル、ヒトラーとの対比。ギレンは言わずと知れているように"ヒトラーの尻尾だな"と言うわけですが、その演説と人を惹きつける力、戦争に駆り立てる手法について。なるほどな、と思わせる部分が多い。政治がマーケティング化している現在、改めて考えないといけない部分だろう。

我々の世代はガンダムを義務教育として育ち、そして地球世紀の現在に生きている。学ぶべきは過去の歴史のみならず、宇宙世紀にも存在する。選挙は終わったが、社会と言う複雑系で生き続ける中、この本は多くの思索をもたらすと思う。考える事をやめ、分かりやすさを要求する前に、再度この本を手に過去と未来について考えて欲しい。
人がそんなに便利になれるわけが無いのだから。

hReview by tomozo , 2005/09/24

参考リンク

SIZUMA DRIVE(著者のブログ)
SIZUMA DRIVE@ハテナ

関係ないけどたまたま見つけて面白かったブログ

直撃を受けているのか!? 〜ガンダム名セリフ講座

関連エントリー

ガンダム世代の時代に

科学の最前線で研究者は何を見ているのか

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ええと、とっても難しゅうございました。

"あしたのロボット"で知られる瀬名秀明氏と科学者の対談なのだが、化石とかロボットの話はなんとか付いていけるものの、量子論とか、宇宙論とか、素粒子とか、その辺りになるともう文字を追っても理解は出来ませんでした。世界は面白いなあ。
それぞれの章で、難易度による差はあるものの、非常に興味深い対談が行われている。少し空恐ろしく思ったのは、科学の先端と書いてエッジと現実生活の乖離。なんか、生活者として実感を持てなくて。

心に残ったのは第2部 第6回 人はなぜ「あんなこと」を信じてしまうのか(菊池聡)

その中で出てきた"クリティカル・シンキング"と言う言葉。日本語に訳すと"批判的思考"と言う事だが、決してケチをつけると言う事ではなく、多角的に物事を捉え、正しく因果を把握すると言う思考法の事。リサーチ・リテラシーもそうだが、一見もっともらしい論理でも、突き詰めると単なる偶然の作用であったり、裏に何らかの意図があって導かれたり、と言う事がある。
マスコミでも、ネットでも短絡的な詭弁や強弁が跋扈している現在、このような思考法は非常に大切なのではないだろうか。

hReview by tomozo , 2005/09/18

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科学の最前線で研究者は何を見ているのか
瀬名 秀明
日本経済新聞社 2004-07

年収300万円の希望格差社会の反社会学的社会調査の嘘

stars 希望格差社会

"パラサイトシングル"と言う言葉を世に広めた社会学者による、社会が二極化して、スタート時から差があるもんだから、金持ちはますます金持ちに、貧乏人はますます貧乏になるよ、と。
努力すれば夢は叶う、と言う幻想にすがって頑張って、気が付けばもう取り返しが付かない人が今後増えるだろうと言う予測。
なお、フリーターと正社員の格差は生涯でおよそ3億となるとか。

フリーターvs正社員の差は3億! - [All About マネー]All About コメントを見る
するとざっくり計算してみても3億円もの差が出ることが分かりました。今回はこの数字をテーマにしながらフリーターの厳しい現状を考えてみます
それとは別に地域格差の問題ってのも大変だと思う。

hReview by tomozo , 2005/09/15


stars 年収300万円時代を生き抜く経済学

小泉内閣における竹中大臣の"構造改革"とはお金持ちを更に金持ちにして貧乏人を更に貧乏人にするお金をベースとしたアメリカ型階級社会を創出する陰謀だ、と言うのが枕。
で、成功する人は運のいいごく少数の人なので、冒険主義に走らず慎ましく暮らしましょうと。年収も、欧米と同様の300万程になるので、その中で幸せ追求しましょうよ、と。個人的には、ライフスタイルの例に出ていた、"都会の人が田舎に行って農業やって幸せに"って奴は幻想に過ぎないんじゃないかなあ、と。

hReview by tomozo , 2005/09/15


stars 反社会学講座

前二冊は気持ちが沈む本でしたが、こちらは、"なんだ、大丈夫か"と思える本。ちなみに、こちらのサイトの内容をまとめた上で加筆したものです。

スタンダード 反社会学講座 コメントを見る
この本で筆者は社会学というのが如何にでたらめで、少年犯罪の凶悪化と増加も統計のマジックで、パラサイトは問題なくって、フリーターは江戸時代からあって、少子化も実はそれで困る人が喧伝しているだけであって問題ないよ、と言うことを書いている。
おうおう、希望格差も年収300万時代も大丈夫じゃん、と言う錯覚を一瞬覚えるが、ちゃんと自分で検証して考えましょう、と思いました。

hReview by tomozo , 2005/09/15

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反社会学講座 (ちくま文庫 ま 33-1)
パオロ・マッツァリーノ
筑摩書房 2007-07

stars 「社会調査」のウソ

世に蔓延る"ゴミ社会調査"について社会調査の専門家である著者が、その問題点を指摘し、社会調査にだまされない"リサーチ・リテラシー"を身につけるよう指南する。
ゴミ社会調査にも色々あって、無知によるもの、何らかの意図を以て行うもの等々。俺も小遣い稼ぎでインターネットアンケートに参加しているけど、そこでの設問は疑問符をつけざるを得ないものが多い。それに対して、どのような意図を持って設問が作られるか、と言うことを解説してくれてるので、モヤモヤがすっきりした感を得た。

hReview by tomozo , 2005/09/15

まとめ

まあ、世の中には情報が溢れているが、なんにせよ誰もが世界の全てを知る術はなく、それらを峻別する技能というのは大事だ。"マスコミ=建前、嘘、偏向、ネット"、"ブログ=本音、真実"等という偏向を持つものも多々いるが、結局のところ自分自身が見て、調べて、考えないと駄目なんだろうなあ。
まとめサイト脳の恐怖 - ARTIFACT@ハテナ系 コメントを見る
人権擁護法案反対でもそうだったけど、まとめサイトに書かれている情報を検証なしで信じる人は多い。多くのまとめサイトがやっていることは、テレビがお得意とする「複雑な情報を単純な構図にしてわかりやすくする」と同じだ。
一番怖いのは思考停止。

スティーブ・ジョブズの再臨

stars ジョブスが失脚してから救世主として戻るまでの遍歴

自らが招聘したジョン・スカリーによってアップルを追放されたスティーブ・ジョブスがNeXTの設立、Pixarの買収を経て、アップルにカムバックし、そしてアップルを建て直す物語。
ジョブスがアップルに戻ってからのことはネットなどで散々見てきたのだけど、NeXT時代の話や、ピクサーの話、女性関係、オラクルのラリー・エリソンとの友情等興味深い話が多かった。

NeXT

NeXTを設立し、彼の元で働きたいと言う優秀な人物がどんどん集まって・・・って今のグーグルのよう。しかも、元アップルで働いていたハーバードの博士号を持つ人物を受付に採用したり。ジョブスはハードウェアに対する偏愛と、美へのこだわりを見せる。結局NeXTは商業的に失敗するわけなんだが、その過程で、ソフトウェアのライセンスがまとまりかけてたって話があったなんて。しかも、IBM、Compaqに加え、DELLまでその話を持ちかけてきたとは!これが上手くまとまっていたら…。

Pixar

もっと面白かったのはピクサーの物語。どういうわけかピクサー関係者にはジョブスの"現実歪曲フィールド"が効かなかったり、ジョブスを遠ざけるために色々工夫を凝らしたり。だけどディズニーとの話がまとまりかけ、上手くいきそうになった途端ジョブスがやって来てCEOを名乗ったり。株式公開前とかほんとクリエイターも大変なんだなあ、と思わせる。

女性関係

いやあ、ジョブスってモテモテだったんですね。そりゃもうビックリするぐらいモテモテ。そして結構ひどいぞ。

生き別れの妹

ジョブスは、産まれてすぐに養子に出され養父母の元で育ったのだけど、生き別れの妹がいて実の妹が作家の"モナ・シンプソン "。映画化された"ここではないどこかへ"で知られている作家ですが、ジョブスの女性遍歴を元にした小説を書いてから疎遠になってしまったとか。そう言えば、ラリー・エリソンの(今の)奥さんは小説家(メラニー・クラフト)だったな。エリソンベースの恋愛小説を書いたとか書かなかったとか。

グッド・スティーブ、バッド・スティーブ

読んでいると、"グッド・スティーブ"、"バッド・スティーブ"と言う単語が頻繁に出てくる。魅力的で快活なグッド・スティーブ、短気で烈火の如く怒り責立てるバッド・スティーブ、両方が組み合わさってスティーブ・ジョブスなんだと。大分丸くなったようだけど。そのおかげで解雇した従業員が復讐にきたり。昔仲違いしたマッキントシュチームと子供が入学した小学校で再開して仲直りしたとか。ビル・ゲイツとの絡みとか、ロス・ペローとの絡みとか、なかなか面白いエピソードがいっぱい。しかし、この人の下で働くってのは相当心臓が強くないと大変だ。実際に心臓に疾患を負ってしまった人もいるし。

hReview by tomozo , 2005/08/27

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スティーブ・ジョブズの再臨―世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活
Alan Deutschman 大谷 和利
毎日コミュニケーションズ 2001-02

イノベーションのジレンマ

stars とにかく、一度読むことをお勧めする

素晴らしい本である。なんで今までこの本を読まなかったのか・・・・悔やまれる。ベストセラーになった"チーズはうんたら"と言うくその役にも立たないおとぎ話の数億倍役に立つ内容と言えよう。良く、読まないと損だと言うキャッチコピーがあるが、この本こそまさしく当てはまる。と言うか、俺は損した気分だ。
本稿は2000年に刊行され、2001年に増補改訂版として出版されたもの。俺が読んだのは増補改訂版。
内容は、何故多くの優良企業が転落していったのか?"技術革新"に付いていけず市場から去っていったのか?或いは滅んだのか、と言うことに対する疑問に対する解が提供される。通説では、"経営者が間抜けだった""市場の声に耳を傾けなかったから""傲慢だったから""技術革新を怠ったから"等と言う理由が述べられるが、豊富な事例の研究により、それが間違いであることが裏付けられる。

優秀で、顧客の声に耳を傾け、顧客の求めるものを提供し続けたせいだ
と、この研究は結論づける。

優秀な先駆者達が主流顧客向けに"持続的イノベーション"を続けている間に、廉価でシンプルな"破壊的イノベーション"が登場し、新しい市場を見つけやがて上位の市場を侵食する。
優秀な企業は、もちろんその技術に対応することは可能だったし、その技術を使った製品を作り上げていたにも関わらず、その技術を販売することが出来なかったため、"破壊的なイノベーター"に席を譲る羽目になった。
そんな馬鹿な、と思う向きもあるだろうが、クリステン教授はその理由も明らかにしている。
つまり、企業はその顧客を頂点とした"バリュー・ネットワーク"の一部であり、リソースは実は顧客によって分配されている、と言うこともつまびらかにしている。

クリステン教授は、"破壊的技術" に上手く適応した事例も紹介している。
まず、破壊的技術は大企業に向かない。なぜなら最初に得られる利益が大企業の成長に必要なほど大きくはないから。よって、企業からスピンアウトした別組織で行うか、主流の組織の影響を受けない別の独立した事業体を立ち上げることを推奨している。
また、最初にリソースを使い切らない点も大事だ。破壊的イノベーションが求められる市場は不明確で、トライ&エラーを繰り返し、必要に応じて軌道修正を行わなければならないから。
上記のようなことが、豊富な事例と明瞭な理論によって述べられており、非常に納得のいくというか、目からうろこが落ちると言うか、思考のパラダイムシフトと言おうか、蒙が啓かれると言おうか、とにかく素晴らしい本であるとしか言えない。2001年刊行にも関わらず、現在にも当てはまる事例には事欠かない。読み進めているうちに、色々な企業・製品が頭に浮かんだ。

とにかく、一度読むことをお勧めする。

余談だが、CNET Japanにクリステン教授のインタビューが載っていたのでリンク。

イノベーションのジレンマに陥る優良企業たち:インタビュー - CNET Japan コメントを見る

hReview by tomozo , 2008/06/02

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イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン 玉田 俊平太 伊豆原 弓
翔泳社 2001-07

ロボット・オペラ

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ロボット・オペラ
瀬名 秀明
光文社 2004-06-19
評価

by G-Tools , 2006/11/20

まず、分厚い。電車の中で読むには適さない圧倒的なテキスト。結構速読派な俺も読むのに結構時間がかかってしまった。

内容は、瀬名秀明氏による古今東西の"ロボット"に関する物語と、それと交錯するロボット工学、人工知能研究等についてまとめたアンソロジー。取り上げられているロボット小説ももちろんのこと、その合間にある第一線の研究者、或いはリアルロボットアニメの製作者等のコラムも面白い。

1930年代までを区切りとし、ロボットの前身ともいえる神話におけるゴーレム、フランケンシュタインの怪物、自動人形と書いてオートマタ、からくり人形等の話題を取り上げ、カレル・チャペックが"R.U.R"において"ロボット"と言う言葉を創作、アシモフからアトム、サイバーパンク、リアルロボットまで様々なロボットを取り巻く物語が取り上げられる。同時に、当時のロボット工学や人工知能研究までロボット関連する技術・学術的な取り組みを取り上げ、それらが相互にどの様な影響を与えたか、についても言及。

例えば、ホンダが"アトムを作れ!"と言う言葉の元にASIMOを開発したことは広く知られているエピソードだと思うが、他にもroombaで知られるiRobot社の創業者が"R2D2"を作ろうと思っていたり、産業用ロボットのパイオニア"unimation"社の創業者が映画"禁断の惑星"に登場する"ロビィ"をみて、ロボットを作ろうと思い立ったとか、"物語"と"テクノロジー"が相互に影響を与えていることが読み取れる。まあ、必ずしも良い影響ばかりではなく、例えば"フランケンシュタインコンプレックス"の様に、テクノロジーに対する恐怖を植え付けたりもするのだが。

ロボット工学を学ぶ人には常識的なことかもしれないけど、単なるロボット好きにはこのロボット工学の辿った道をなぞるだけでも面白かった。

収録されている作品のうち、心に残ったのは以下の通り。

  • 孤独な機械(1932)ジョン・ベイノン・ハリス(ジョン・ウィンダム) 金子浩=訳
  • フロストとベータ(1966)ロジャー・ゼラズニイ 浅倉久志=訳
  • コスモノートリス(2002)藤崎慎吾

しかし、アトム、ガンダムの影響を論じるのは多いが、"パトレーバー"と"攻殻機動隊"の影響も大したもの。10年後ぐらいには"エヴァ"に影響を受けたロボット技術者が出てくるのだろうか?

それにしても読後は"まるいち的風景"が読みたくて仕方がなくなってしまった。。。

成功して不幸になる人びと

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成功して不幸になる人びと ビジネスの成功が、なぜ人生の失敗をよぶのか
神田 昌典 平野 誠一
ダイヤモンド社 2003-12-05

by G-Tools , 2005/08/01

stars May the Forth be with you.

お、ブッシュ政権の前商務長官がこんな本を・・・と手に取った本書。著者は"ジョン・オニール"。前商務長官は"ポール・オニール"でしたな・・・

それはさておき、まず最初の印象は、これってジェダイの教えに似ているな。

本書は、経済的に成功を収めた人々の多くが私生活では多くの悩みを抱えており、決して幸福ではないことに対する分析及び対処法をまとめたもの。その内容は、成功者にだけ当てはまるわけではなく、成功していない(俺のような)人々にも多々当てはまるだろう。

そしてこれは個人のみならず、組織についても然り。
えっと、アナキン・スカイウォーカーとか若貴兄弟とか、堤元西武会長とか三菱自動車とかエンロンとかワールドコムとか色々思い当たりませんか? 少し前の"IT Pro 記者の目"にまさしくそんな会社のコラムが。

あるIT企業の憂鬱:ITpro コメントを見る
成功した人物が何故不幸に陥るのか?著者はその原因を"シャドウ"としている。"シャドウ"とは心の奥に潜む、認めたくない自分自身のこと。或いは成功を導いた資質の反対。自我の肥大化と共にシャドウも生長し、自分自身を苦しめる。そして多くの人・組織はシャドウの存在すら認めることが出来ない。と言うことを筆者が関わった多くの事例から導き出している。
優れた資質が成功に伴いシャドウと化すと言う事例も。例えば、"気の利いた風刺"が"嫌みな毒舌"に"慎重さ"が"臆病"に、"リーダーシップ"が"生き過ぎた管理主義"にと言う具合に。

つまり執着は恐れに繋がり、恐れはダークサイドに繋がる。…選ばれしものだったのに!。
そして後半においてはそのシャドウとのつき合い方について。
まずはシャドウの存在を認めること。そしてシャドウと対話することを論じている。個人で言えば自己の内側と対話し、隠された欲求や不満について良く考えること。組織で言えば隠し事をなくし、真摯に語り合うこと。

その方法論として瞑想や、儀式等を挙げている。また、自己と向き合い、必要であれば変化を受け入れる(仕事を変える、新しい趣味に挑戦する等)事を進めている。
面白いと思ったのは学習曲線の項。
だれしも新しいことを始めた時は何もかも新鮮で意欲に溢れどんどんと多くことを吸収するが、やがてそれが頂点に来ると、惰性でことを済ませたり、興味を失ったり。そして曲線は下降する。そうなった際に新しいものへ挑戦する、やり方を変える必要性を論じている。
一通り読んでみて思ったのは、これってゲイツが言っているそして実践していることと相似だな、と言うこと。

以前、ビル・ゲイツの著作"思考スピードの経営"を読んだのだが、その中で書かれていたことの多くが当てはまる。
経営陣は悪いニュースが伝わるようにするべきだと言うこと。そしてデスクトップOSで成功を収めたマイクロソフトが一転してインターネットに注力し、ネットスケープを駆逐した後にはセキュリティにそのフォーカスを当てる辺り、上記学習曲線で書かれていることと見事に一致し、ゲイツが優れた経営者であることを再認識。
それはさておき、ヨーダの言葉にも通じるところがある本書。ダークサイドに落ちないためにも是非選ばれた人にそうでない人に読んでもらいたい。

May the Forth be with you.

hReview by tomozo , 2005/08/01

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