stars 帯文に違わずスリリングな読み物

筆者のブログ/twitterを追いかけているので出版前から楽しみにしていた一冊。予約して発売日に入手して一気に読んだ。

本当は二度読んでから何らかの感想を書こうかと思っていたが時間がとれそうにないのでとりとめもなく書く。

本書は『ラーメンから現代史を読み解くスリリングな試み!』と言う帯文に違わず、ラーメンという異国由来の食物が戦後どのように浸透し、変遷していったのか、政治や生産技術等と絡めて解き明かしていく。

そういえばあの頃のラーメンはそうだったよなあ…と言う想い出とリンクしながら読み進めていった。
子供の頃、近所のショッピングセンター的なところへ行くと店の近くに『札幌ラーメン』のチェーン店があってそこでたまに味噌ラーメン(トッピングにコーン)を食べたこと。高校生大学生の頃には袋麺の『サッポロ一番』をよく作って食べていたこと。やがて地元にも遅れて『ご当地ラーメン』的な店が増えてきたこと。東京に出て豚骨ラーメンなどの『有名店』に行ったことetc etc。

そしていつの間に駅ナカやショッピングモールの目玉としてラーメン店を複数揃えているところが増え、そして壁にポエムが書かれた店内では作務衣の店員。

おおっと思ったのはP.94からP95にかけて『チキンラーメン』が当時の企業としては珍しく子供向けのマーケティングを重視していたと書かれてた所。子供の通う幼稚園に『食育』と称してイベントを実施していたのもその流れなのだろうか。あのヒヨコがきて踊りを教えてくれて、お土産にチキンラーメンとグッズ(どんぶり)くれたり。手法は異なるものの根底の思想は引き継がれているのかな。

読み終えて少々不満だったのは、名古屋在住者としては『スガキヤ』が一切触れられていない点。まあ、日本通史で見た場合はそうなるのだろうなあ、とは思いつつ。あと気になる所として、ラーメン漫画とかフードコーディネータ等が果たした役割とか無いのかな?ちなみに『麺屋武蔵』についてはヤングジャンプの読み切り漫画で知った口です。

最後に、やはり書かれなかった最終章が読みたかったな、と言う思いが残る。いつの日にか、最終章が追記された愛蔵版が出ることを望む。

hReview by tomozo , 2012/01/19

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ラーメンと愛国 (講談社現代新書)
速水 健朗
講談社 2011-10-18

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