先のエントリーRSSリーダー臨終図鑑で示したとおり、WebによるRSSリーダーが相次いで事業継続を断念しているわけですが、その深層についてちょっと考えたいと思います。因みに、RSSは概念が分かりにくいとか、用語が馴染めないとか、そもそも一般人はそんなに読まないという話は5年前の話題なのでスルーします。
自分が推測する理由は以下の3点です。
  • 『読む』と言うことが本質的に個人的な行為だと言うこと。
  • 『広告』に馴染まない…収益に(直接的に)結びつかない
  • サーバの負荷が高い

『読む』と言うことが本質的に個人的な行為だと言うこと

Bloglinesが閉鎖の言い訳に引き合いに出していたTwitterやFacebookと異なり、"Feedを読む"と言う行為が個人的であること。その為にネットワーク効果が生じにくく、広まりにくい。つまり、Twitterを利用することとJaikuを使うことは異なるが、BloglinesでFeedを読むことと、Internet ExplorerでFeedを読むことに差異はない。
もちろん、サービス提供者もそのことは十二分に認識しており、様々な対策を行っていた。例えば、Rojoは最初かrソーシャルネットワーク的な志向を持って運営されていたし、はてなRSSやLivedoor Readerは自社のソーシャルブックマークと連携していたし、Bloglinesは購読しているFeedを公開できるだけでなく、Blogを作成する機能そのものを持っていた。
が、効果的に作用していたとは言い難いのでは。
最近では、Google Readerのshare機能が、各種ソーシャルなんちゃらやGoogle Buzzと連携していて割といい感じではないかと思われます。

『広告』に馴染まない…収益に(直接的に)結びつかない

Feedの利点として、余計な情報が含まれないコンテンツそのものを読めると言うことがあります。その為、コンテンツを提供するサービスと比して、広告に馴染まないと言えるでしょう。
かつてFeedpathやはてなRSSにはサイト内で広告表示をしていましたが、果たして実際に広告として機能していたでしょうか?
また、livedoor ReaderはFindjobと提携していますが、収益にどれほど寄与しているのでしょうか?
そしてGoogleはFeedBurnerを買収し、Feed広告を拡大した。

サーバの負荷が高い

クロール、ストレージ&ロックンロール…というわけで、RSSリーダーをWebで運営するのは結構な負荷になるかと。利用者が増えれば増えるほど高まりますし、突出した利用者がいても高まる。詰まるところ負荷に耐えるだけのインフラを備えなければ事業継続は不可というわけで。
Googleやlivedoor等、大規模なデータセンター設備を有するサービスですら、時々障害が発生することを鑑みるに、独立系がサービスを継続的に提供するのは難しいのかもしれません。
替わって、バックエンドをGoogle等に委託したアプリケーションが特にモバイル分野で伸張しています。
Byline,Reader等々。NewsGatorはNetNewsWireをGoogle Readerと同期するように作り変えています。

あとがき

2004年〜2005年頃には大いに期待されたRSSリーダーですが、既にビジネスとしては行き詰まっているというのが現状ではないでしょうか。
例えば、livedoor Readerの海外展開と言うことで賑々しく船出したFastladderの現状を見ると…
自前でRSSリーダーを運営するのは、もはやGoogle等の本業との相乗効果が期待できる一握りの企業のみに…有り体に言ってしまうと、グローバルではGoogle、日本ではlivedoor位なのではないでしょうか。
と言うわけで、これからも儲からないだろうなあ、と言うのが結論です。

関連エントリー

Future is mild : RSSリーダー臨終図鑑 コメントを見る コメントを見る