【レポート】「奴らは間違った場所を掘っている!」、U2も参加したAppleの音楽イベント (1) 「iPod Socksとご一緒に?」のiPod Photo、イベントでの反応は | 家電 | マイコミジャーナル コメントを見る
最近増えているビデオ再生機能を持つメディアプレイヤーについて、Jobs氏は「大きくて重すぎるし、コンテンツが少ない。それにビデオを楽しむには画面が小さ過ぎる」と否定的。次の瞬間、Jobs氏の後ろのスクリーンにインディアナ・ジョーンズの1シーンが現れ、ハリソン・フォードが「奴らは、間違った場所を掘っている!」と叫んで、大きくうなずく。

等と宣っていたS・ジョブスですが、iPodに動画再生機能を搭載した新機種を発表したのは既報の通り。その上で、"Front row"という10フィートインターフェース搭載の新iMacを発表しました。

これが何を意味するか?

Appleの本命は、iPod用のQVGAの動画配信ではなく、iTunesのフルスクリーンで再生される映像にあるのだろうと推測する。

同様の感想を抱いた人は他にも何人か。

nobilog2: 映像コンテンツビジネスが変わった日 コメントを見る
今回、アップルが行った歴史的発表が描く「近」未来はこうだ。
大好きなドラマを見逃した。

そうしたら翌日、iTunes Music Storeでその番組を買えばいい。
価格はたったの1.99ドル。
広告も入っていない。
Life is beautiful: アップルにして欲しい次の革命 コメントを見る
今回のアナウンスメントでもっとも重要なのは、ディズニーがiTunes 向けの動画配信のパートナーとなったことある。ディズニーは、ABC、ディズニーチャンネル、ESPN などの主要なテレビ局を持つ巨大コンテンツ会社。そのディズニーのCEOの Iger 氏が自ら舞台に上がってアナウンスをしたのだから、これの意味することはビデオ iPod なんかよりも桁違いに大きい。
デジタル放送云々という話には賛同しかねるが、これが放送と言うビジネスに与えるインパクトと言う点では同意。更に引用。
もちろん、私がアップルに期待しているのは(そしてたぶんディズニーが最終的に狙っているのも)、iPod向けのQVGAサイズのビデオ配信なんかではない。テレビにつないだ Mac 向けのDVD・HDTVクオリティのビデオ配信である。各家庭にハードディスクレコーダーを置く代わりに、コンテンツ配信者にはビデオデータを置いたサーバーからpodcast の仕組みで配信してもらい、いつでも見られる状態を実現するのである。

昨今は、"放送と通信の融合"等と言う言葉がまことしやかに語られているが、Appleが目指しているのは全く異なる地平ではないか、というのが俺の印象。

すなわち、"Eyeball"戦争において、TVを打ち倒そうとしているのではないか、と思うのだ。

話は変るが、"リビングルームPC"というのがある。IntelやMicrosoftやSonyが取り組んでいるものだ。

これこそがジョブスが"奴らは、間違った場所を掘っている!"と思っているものではないだろうか?

"リビングルーム"幻想

IntelやMicrosoftやSonyはTVと融合する事により"リビングルーム"へ進出しようと目論んでいると言う。例えば、Viivテクノロジであり、Windows XP Media Center Edition(MCE)であり、XBOXであり、一連のVAIOシリーズや、その類似品達によって。

だがしかし、これらの製品は本当に"リビングルーム"で使用されるのだろうか?

MCEやPS2やXBOXにしても、使われるのは殆ど"パーソナル"な場所ではないのだろうか。TVにしても家族みんなで見る、という番組が現在どれぐらいあるのだろう?

そもそも"PC"からして"パーソナル"に利用されるものではないだろうか。

そこで話を戻すと、Appleが目指しているのは"パーソナル"なコンテンツ配信ではないだろうかと思うのだ。場所は問題じゃなく、何をしたいか、何が問題なのか、と言う観点が必要なのだろう。

放送と言うのは、視聴者から見れば時系列に沿ってコンテンツを流す代物であり、その経路が電波であろうと光ファイバであろうとさしたる問題ではない。問題は気に入った番組を繰り返し見たり、見たい番組を見逃してしまったりする、という事だ。それに対する端末側での対策がTivoであったり、DIGAだったりRD-StyleだったりXビデオステーションだったりMCEだったり即ちタイムシフトなわけで。逆にAppleが狙っているのはそもそもシステムとしてそれらの問題を解決する事なんだと思う。

楽天も間違った場所を掘っている?

楽天がTBSの買収を目指して動いているが、これも間違った場所を掘っているのではないだろうか?土管を買ってどうする、という話。買うならば直接コンテンツを買えばいいのに。この点については炎上した西正氏のエントリーに同意。
西正が贈るメディア情報: 楽天を支持する者にNHKを語る資格は無い コメントを見る
スピルバーグやルーーカスはハリウッドの徒弟制度等に嫌気して、飛び出したわけだし、「唯作品論」をしつこく持ち出すならば、日本には放送局の人間より一桁少ない給与で作品作りに取り組んでいる制作プロダクションが山ほどある。どうせ投資するなら、そこに投資することによって、今までは放送局の言いなりに我慢しなければならなかった人たちに、自由な「作品作り」を任せられるように思う。
Appleが音楽配信で成功した背景には、S・ジョブス氏がPixarというコンテンツ制作会社を所有しており、メディア企業からインサイダーと見られている部分も作用しているし、今回のiPod向けの映像配信にしてもPixarの資産を活用している。

日本でも制作会社が自ら配信に乗り出す例は古くはitv24、最近ではiPod向けの放送局"PodTV"も開始。
iPod専門テレビ局「PodTV」が開局--100チャンネルを無料で コメントを見る
そういった意味では放送局を買収しようと言う楽天の動きも"間違った場所を掘っている"のかもしれない。

まとめ

結局、まとまらない。
つらつらとAppleの戦略と言うか思想を推測してみたが、結局のところどれが正しいか、なんて答えが俺に分かるはずも無く。来年の今頃はiMac TVなんてものがでているかもしれない。ただ、鍵を握るのはやはりコンテンツで、後は如何にユーザー体験を高めるかに尽きるのではないかなあ、と。俺は1999年末から2002年夏までテレビと言うものを所有しない生活を送ったけど、特に困る事なく、特段必要とも感じる事なく過ごした。唯一テレビが欲しい!と思ったのはニューヨークのテロの時ぐらいか。そのかわり何をしていたかと言うとひたすらネットだった。途中でDiablo2なんかもやってたけど。何が言いたいかと言うと、俺のような人間でも気楽に気軽に視聴できるものであれば喜んで視聴するので面白いコンテンツがiTunesに限らずいっぱい溢れてくれたらなぁ、と。

言い換えれば、コンテンツをよこせ!だな。

視聴者はわがままだなあ。