stars ジョブスが失脚してから救世主として戻るまでの遍歴

自らが招聘したジョン・スカリーによってアップルを追放されたスティーブ・ジョブスがNeXTの設立、Pixarの買収を経て、アップルにカムバックし、そしてアップルを建て直す物語。
ジョブスがアップルに戻ってからのことはネットなどで散々見てきたのだけど、NeXT時代の話や、ピクサーの話、女性関係、オラクルのラリー・エリソンとの友情等興味深い話が多かった。

NeXT

NeXTを設立し、彼の元で働きたいと言う優秀な人物がどんどん集まって・・・って今のグーグルのよう。しかも、元アップルで働いていたハーバードの博士号を持つ人物を受付に採用したり。ジョブスはハードウェアに対する偏愛と、美へのこだわりを見せる。結局NeXTは商業的に失敗するわけなんだが、その過程で、ソフトウェアのライセンスがまとまりかけてたって話があったなんて。しかも、IBM、Compaqに加え、DELLまでその話を持ちかけてきたとは!これが上手くまとまっていたら…。

Pixar

もっと面白かったのはピクサーの物語。どういうわけかピクサー関係者にはジョブスの"現実歪曲フィールド"が効かなかったり、ジョブスを遠ざけるために色々工夫を凝らしたり。だけどディズニーとの話がまとまりかけ、上手くいきそうになった途端ジョブスがやって来てCEOを名乗ったり。株式公開前とかほんとクリエイターも大変なんだなあ、と思わせる。

女性関係

いやあ、ジョブスってモテモテだったんですね。そりゃもうビックリするぐらいモテモテ。そして結構ひどいぞ。

生き別れの妹

ジョブスは、産まれてすぐに養子に出され養父母の元で育ったのだけど、生き別れの妹がいて実の妹が作家の"モナ・シンプソン "。映画化された"ここではないどこかへ"で知られている作家ですが、ジョブスの女性遍歴を元にした小説を書いてから疎遠になってしまったとか。そう言えば、ラリー・エリソンの(今の)奥さんは小説家(メラニー・クラフト)だったな。エリソンベースの恋愛小説を書いたとか書かなかったとか。

グッド・スティーブ、バッド・スティーブ

読んでいると、"グッド・スティーブ"、"バッド・スティーブ"と言う単語が頻繁に出てくる。魅力的で快活なグッド・スティーブ、短気で烈火の如く怒り責立てるバッド・スティーブ、両方が組み合わさってスティーブ・ジョブスなんだと。大分丸くなったようだけど。そのおかげで解雇した従業員が復讐にきたり。昔仲違いしたマッキントシュチームと子供が入学した小学校で再開して仲直りしたとか。ビル・ゲイツとの絡みとか、ロス・ペローとの絡みとか、なかなか面白いエピソードがいっぱい。しかし、この人の下で働くってのは相当心臓が強くないと大変だ。実際に心臓に疾患を負ってしまった人もいるし。

hReview by tomozo , 2005/08/27

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スティーブ・ジョブズの再臨―世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活
Alan Deutschman 大谷 和利
毎日コミュニケーションズ 2001-02