企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ〜HDRユーザーの過半数がテレビCM80%スキップ、今年の損失総額は約540億円に〜 コメントを見る
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下NRI)は2005年4月、ブロードバンドの普及状況、メディア利用時間の変化、HDR(ハードディスク・レコーダー)の利用状況に関するインターネットアンケート調査を実施しました(2005年4月22〜24日実施、回答者数は3,000)。その結果わかったHDRユーザの平均テレビCMスキップ率などをもとに、2005年の企業の年間テレビ広告費全体における損失総額は約540億円となる可能性がある、という試算を出しました。同時に、マスメディアの利用時間は、PCによるインターネットに取り込まれる形で減少傾向にあることも明らかになりました。このような状況を踏まえ、企業は本格的に広告・宣伝手法を考え直す時期にきていると言えます。
テレビCMの価値が奈落の底--ネットとHDDレコーダーで加速:ニュース - CNET Japan コメントを見る
調査によると、HDRユーザーのうち、HDDに録画した番組を視聴する際にテレビCMをすべてスキップする人の割合は23.4%となっている。この数字と、テレビCMの80%以上をスキップする人の割合33.0%を合わせると、過半数の人がほとんどのCMをスキップしていることになる。

TV広告に関して、かなりショッキングな調査結果が発表されました。発表したのは野村総合研究所(NRI)
これは各メディアの反響を呼び"540億円の損失"と言う見出しが踊りました。

一方、テレビ視聴にかわってインターネット利用時間が延びていることも示している。
この調査結果を受けて、NRIは従来のようなテレビCMは広告価値が下がり、かわって、ゲームや番組内での商品露出(プロダクト・プレイスメント)、媒体の乗り換え、ポイントやマイレージで釣るなどの広告宣伝形態が2010年頃までに急成長する可能性が高いと考えているそうな。
まず思ったのは、この"540億円"と言う数値が独り歩きするだろうなぁ、と言う事。NRIのリリースを見る限り、さほど精度が高い算出ではないように思えるのだけど、今後"既定の事実"として引用される事が多いと思われ。

実際は、HDRユーザー以外でもCM中は他事を行っていたり、リモコンでザッピングをしたり、トイレに行ったりとそんなに見てないのではとも思えるのだけど。つまり、HDRによって引き起こされた自体ではなく、HDRで顕在化しただけと。
で、中長期的には現在のTV CMモデル、つまり番組の合間に15秒、30秒の広告を流すというモデルはどんどん価値が下落してくのだろうな、と言うのは一視聴者としても何となく分かる。
また民放連の会長の発言が蒸し返されるのだろう。
で、今後テレビCMがどうなるのかとか、放送というビジネスモデルがどうなるのかとつらつらと考えてみた。

テレビコマーシャル時代の終焉

ITmediaアンカーデスク:テレビコマーシャル時代の終焉 (1/3) コメントを見る
DVDレコーダーでCMや見たくない場面をカットして録画することは、「著作権法違反」か? 民放連会長が定例記者で行ったとされるこの発言が、ネット上で物議をかもしている。だが、この「事件」は、従来の「放送」のビジネスモデル――従来型のTVCM――が終焉を迎えつつあることを示唆しているのではないだろうか?

テレビCMについての論考については上記コラムが詳しい。件のフジテレビ会長の"CMカットは著作権法違反発言"についてもきっちり書かれている。ちょっと引用すると

そもそもテレビコマーシャルの15秒や30秒で、自社の商品を広告し、あわよくば人の役にも立とうというのは、どう考えても無理がある。そう言う意味で筆者は、現在のテレビコマーシャルのあり方が、“広告”として破綻するはそう遠くないだろうと見ている。これから放送で行なう広告は、インフォマーシャルに変質すべきだ。
現状のテレビコマーシャルは、それに興味がない人にとってはゴミにしか過ぎない。だが逆に興味のある人にとっては、あまりにも情報が少なすぎる。
最近のCMがやたら"続きはWEBへ"と、サイトへ誘導する役割をいなっているのもその流れの一環かもしれない。逆に言えば、最初からサイトへ呼び込めれば不要とも言える。

あと、俺が思うには、広告その物の面白さも関係するのでは?世の中には下らないどうでもいいCMが溢れている中で、"名作"と言われるものも確かにある。最近では、ANAの新羽田ターミナルCMなんかが物凄く印象に残っている。

あと、パリス・ヒルトン出演の"セクシー過ぎる"CMが物議を醸しているそうです。で、サイトへアクセス集中とか。

プロダクト・プレイスメントは、今でも氾濫しているような気がする。まあ、殆どテレビは見ないのでなんとも言えないのだけど。アメリカではリアリティ番組の殆どに導入されているそうだ。俺にとって印象が強かったのは、映画"TAXI 2"の三菱ランサーエボリューション。パリの市街を千葉ナンバーのランエボが疾走する姿は圧巻でした。ちょっと違うか。

民放ビジネスモデルの終焉

ITmedia ライフスタイル:地上波のビジネスモデルが壊れていくことは、視聴者に幸福をもたらすか? (1/2) コメントを見る
NHKの受信料不払い運動の拡大や録画機器の進化による民放のCMリーチ低下によって、地上波放送のビジネスモデルが揺らぎつつある。ただ、それが視聴者にとって本当に良いことなのかどうかは、大いに疑問である。

俺は1999年から2002年にかけて東京に住んでいたのですが、その時テレビを所有していませんでした。と前置きした上で、上記コラムを引用。

テレビ広告市場が縮小するというだけのことであるならば、今の5系統ある民放が再編されることになる可能性がある。しかし、そもそものビジネスモデル自体が壊れていくのだとしたら、その先に待ち受けているシナリオは、無料放送が消滅すると考えた方が現実的である。
とまあ、現状のようなTV広告市場が縮小する事によって現在の無料放送と言うビジネスモデルが終焉する可能性が取りざたされています。で、更に引用すると
これがNHK受信料の不払いや、民放のCM飛ばしを、声高らかに大合唱したことがもたらす結末である。結局のところ、今の地上波放送のビジネスモデルが大きく変わることになれば、視聴者にとって不幸なシナリオしか描けないのだ。
と結論づけていますが。俺の経験から言えば、別にテレビなんか見なくても死なないし、それは別に不幸な事ではないと思う。逆に、金を払ってでも見たい番組が今の民放にどれほどあるかが問題では?見てもらうための工夫はおざなりで、お手軽な番組ばかり租税乱造する今のテレビにはなんの魅力も感じませんから。その上、デジタル放送に際し、著作権を口実に色々と制限を加えようとしている。

俺が現在見ている番組は、ニュース(NHK,WBSが多い)とWWE(これはスカパーだ)。そして必ずしもリアルタイム性を必要としないし。

対立でなく協調でしょ

結局、HDRとCMを二項対立として捉えているからNRIの調査となるわけで、それらを融合する試みを行うべきなんだろうなぁ。
DVRが視聴率を変える!? TiVoとNielsenがTV視聴者調査で提携 | ネット | マイコミジャーナル コメントを見る
また、TivoにはCMをスキップしてもポップアップして広告を表示する機能が追加される予定だとか。日本の放送局も、HDRを敵視する事なく、新たなビジネスモデルを構築して・・・もらわなくても俺は構わないか。